何かをしていると、あっというまに過ぎる春休み。
でも、今年の休みはいつもとは違う。すぐには終わってはくれないようだ。
嬉しい事なのか、悲しい事なのか。
今は、休みがあるということよりも、この頭に霧がかかった状態をどうにかしたい。
ぼくが動かないと、なにもわからないんだろうな、きっと。。。
探索
まずは、工藤さんにあって、友達の相川なおこって人について聞いてみよう。
電話で話した相川さんに電話すると、ただいま使われておりません、、、だって。
あと、たくやが成人式に会ったっていう相川さんにも連絡とりたいけど、
たくや、電話番号知らないっていうし。仕方ないからまずは一人めだ。
「こんにちは、お元気でした?」そうやって、僕は工藤さんにはなしかけた。
そう、彼女と会うのはこれで2回目、彼女は僕の記憶になはなかった。知らない人。
相川なおこについて
相川なおこは、工藤さんの同じクラスを専攻している女性で、
どうやら、一緒にインターネットをしていたらしい。そこで、僕の名前を見つけたので、
興味をもったということだった。どうして本人がメールをしないのか。
それは、工藤さんも聞いてみたけど答えなかったそうだ。
ま、彼女は初めてだったらしく、相川のいうとおりにメールをしたらしい。
メールの内容も、ほとんどが彼女の言う通りに書いていたものだった。
友達のまりあについては、プリクラでは本当に似ているらしいけれど、実際はやはり少し違うらしい。
まぁ今は、まりあって人に会いたいって気分じゃないな。
相川に連絡をとりたい、そう思ったけれど、現在しようされていないらしい。
春休み前から連絡がとれないそうだ。一応、電話番号を聞いてみたけど、あの相川とは違う番号だった。
ああ、これで先が見えなくなった。どうしたらいいんだよ。唯一の頼みの綱が、、、
これじゃ、何もわからない。誰か、なんとかしてくれよ。
「ぷるるる、ぷるるる、、、」ん?誰だ?「もしもし、まりあですけど。」
「まりあ?俺おれ、たくや。この前相川の電話番号聞いてたからさー、友達に教えてもらったよ。」
あはは、気がきくよ、たくや。ちゃんと聞いててくれてたんだ。そっかそっか。
で、教えてもらったのは実家の電話番号。これで、またちょっとだけ先に進める。
少しでも先に近づくことができるなら、まだまだ探してみせる。
訪問
実家に電話してみた。なおこさんのお宅ですか?と聞くと、そうです、という返事が返ってきた。
ぼくが、なおこさんいらっしゃいますか?なんて聞いてみると、どうやら今、出かけているらしい。
そうか。それなら、、、
ぼくは、電話帳に手が伸びていた。今はもう、やるだけのことをしようと思っている。
のんびりなおこが家に帰るのを待っていられない。住所を調べてやる。
あいかわ、あいかわ、、、、えっと、相川でこの番号は、っと、、、あった。これだ!
そうやって、ぼくは彼女の家をつきとめる事ができた。
「ぴんぽーん」
ん?何の反応もない。誰もいないのかなぁ?それは困るな、せっかくここまできたんだから。
「ぴんぽーんぴんぽーんぴんぽーん」、、、ぎぃぃっと鈍い音とともに扉が開いた。
「どなたですか?」僕は、その男の人に事情を説明しないと、って思っていた。
でも、僕が口を開く前に、「あ、君はたしかなおこの友達の、、、」へ?なおこの友達の?
なんであなたが僕のことをしっているんですか?僕は、あなたのこと知らないのに。
どういうことだろう。頭がおかしくなってきたぞ。やはり、僕はどうかしているのか?
その男の人は親切で、家に上がって待たせてもらうことにした。
僕は、じーっと座っている。この部屋の感じは、どこかでみたような気がしなくもないけど、
この家に来たのは初めてのはずなのに。。。そう思っていると、おばさんがお茶を持って来てくれた。
「最近みなかったけど、元気にしてたの?なおちゃんと喧嘩でもしたのかと思ったわ」
ぼくは、おばさんの話をじっと聞いている。一言も聞き漏らさないように。
僕は、軽く答えを返しながら、頭の中を整理していた。そう、ぼくはきっとなおこのことを知っているんだ。
彼女がいっていた、付き合ってるっていうのも、きっと正しいんだろうな。
だんだんそう思えるようになってきた。
はやく、戻っておいでよ。君にあえれば、すべて思い出せる気がする。はやくしないと、頭が痛くて、、、
なおこ
まぁ、なんとか間に合ってよかった。運がいいのは昔からだけど。
それにしても、ここにこれるなんて思っていなかった。なかなかやるじゃん。
やろうと思えば、なんでもできるんだよ、きっと。できないと思っているのは、君がやろうとしないから。
ちょっとだけ、意志があればなんだってできる。まぁ、何かを失う事があるかもしれないけど。
君に、その意味がわかるかな?もうすでに進んでしまっている方向に。
いい方向だと思うよ、今までの君からすれば。きっとこれから進む道は違ったものになるだろう。
ん?寝ちゃってたみたい。あー、もうこんな時間だ。そろそろ帰らないと。迷惑かけられないし。
「あ、起きたの?気持ち良さそうだったから、寝かせておいたの。今日は泊まっていくの?」
泊まるなんて、とんでもない。そういえば、なおこは帰ってきたのかな?「なおこさんは?」
そういうと、おばさんはなおこを呼びに2階へと上がっていった。
しばらくして、女の人がやってきた。きっとこの人がなおこなんだろう。
「やっと起きたのぉ?ちゃんと私が帰ってくるの、まってないとだめでしょ」
僕は、なんていったらのいいのか、言葉がでない。
あれだけ探していたのにもかかわらず、本人を前にすると、頭のなかが真っ白になってしまった。
じーっと彼女の顔をみつめていると、なおこの方から僕に話しかけてきた。
「何、ぼーっとしてるのよ。今日はどうしたの?寂しくて私に会いにきたの?」
なんて、にこにこしながら話しかけている彼女を前に、僕はちょっと赤面していた。
「なーに赤くなってるの、かわいい~。」なんて、僕はからかわれていた。
だめだ、早く僕の聞きたいことを聞かないと。なおこ、あなたはいったい、、、
君
「君は、いったい誰なの?」僕は、不安と期待の入り混じった思いで彼女に尋ねた。
すると、彼女はしばらく困惑した感じで、僕の顔をみつめていた。
「あなたは、まりあくんじゃないの?」そう訪ねたなおこは少し不安そうだった。
「君は、、、」と僕は間をあけて、自分を落ち着かせて1つずつ尋ねていくことにした。
まずは、、、「君は、成人式で僕を見かけたんだよね?」ドキドキしながら聞いてみた。
「成人式、一緒にいくっていってたのに、電話してくれなかったじゃない。」
電話してくれなかったじゃない、、、か。僕をしっていたんだ。。。
「僕に電話してきたのは、君なの?」「・・・うん。」「僕と付き合ってるっていったのも?」
「そうだよ?」「じゃあ、、、」僕の中の相川は、みんな同一人物なの?
「じゃあ、工藤しずかって子、知ってる?」「私の友達だよ。」
あれから、僕はいろんなことを聞いた。なぜ彼女の友達に僕のことをメルトモに進めたのか。
僕のことを知っていたのに、家に急に電話してきたのか。なおこの携帯が使えなくなった理由。
約束の場所になおこが現れなかったわけも。。。全てをきくと、一つにまとまった。
すべてが一本の糸で結ばれた。たった1つ、解らない。。。そう、たった1つだけ。。。
ちょっと混乱していたので、1つずつ整理してみる。まずは、、、僕のことを知っていたのに、家に電話した理由。
それは、僕が携帯の番号を教えていなかったからだった。
そういえば、携帯を買ってから人に家の番号を教えていないな。
だから、成人式に友達に僕の電話番号を聞いたということだった。
なおこの携帯が使えなくなった理由、それは、なおこがもうすぐ中国に留学するので解約したとのことだった。
なおこは、携帯とピッチの2つをもっていて、僕には携帯の、工藤さんにはピッチの番号を教えていた。
だから、番号が同じじゃなかったんだ。約束の場所にこれなかったのは、留学の手続きがあったからだそうだ。
そして、一番解らなかったこと。それは、、、なぜ彼女が友達に僕のことをメルトモに進めたのか。
たとえ、一緒にネットをしていても、僕をみつけるのは難しい。なのに、なんで僕に?
答えは、、、僕がなおこにメルトモ募集をしたことを言ったらしい。僕がなおこに、、、
なおこは、僕の話したページをみつけて工藤さんに進めただけだそうだ。
ちょっとした悪戯?それともメルトモになってあげてと頼んだのかもしれない。
そんなところだった。・・・そして、なおこは中国へと旅立った。
僕は、知らない。何も知らない。僕が彼女にそんなことを言ったなんて。
でも、もしあの夢がほんとうなら、、、、でも、そんなおかしな話はないよ。
最近、僕は夢をよく見る。それは、現実のような夢のような、へんな感覚。
そこで、何度か僕は、小さいころの自分に似た少年の話をしていた。
夢の中で話した君は、やっぱり、、、僕なのか。
少年
ある日、僕は空を見つめていたんだ。星がいっぱいだった。
奇麗な夜空を見上げていた。いつのまにか太陽が顔を覗かせていた。
青い空に吸い込まれそうになったんだ。大きな雲が流れている。
僕は、雲が流れているのをみるのも好きだった。だから空が好きなんだ。。。
いつか、空を飛びたいなんて、いつまでもかなわない夢を追いかけているんだ。
だから、はやく大人になりたい。僕ならきっと、、、
一緒に居てくれるって言ったのに、嘘なんてつかないでよ。
僕は、そんなんじゃないよ、違う。違うよ、おにいちゃん。
どうして気が付かないの?もう忘れちゃったの?だったら僕が、、、
僕がどうにかしてあげる。何も心配しなくてもいいよ。
きっと、おにいちゃんが思っているようになると思うから。だから、、、
僕は、目が覚めると涙で顔が濡れていた。とても小さいころ、僕は君と同じように夢をみていた。
一人ぼっちだったんだ。だから、僕はもう一人の自分といつも一緒にいた。
いつも、、、いつから君はまたひとりぼっちになったんだろう。
僕は、いつから君のことを忘れてしまっていたんだろう。
また、君を一人ぼっちにしてしまっていたんだ。君は僕のために、、、
僕じゃない僕が、精いっぱい僕の願いをかなえてくれていたんだ。
だから、今度は君の夢をかなえるように僕が動かないと。
でも、僕にはもう一つ夢をみる。この夢は君の夢とは違うんだ。
だって、その人は、女の子だから。
僕に早く迎えにきてっていってる。この子は、だれ?君は知ってるの?
何もない日
僕は、あれから気が抜けていた。なおこのことは、たまにうっすらと思い出すことがある。
そのとき、僕は僕でないような錯覚を感じでしまう。もう一人の僕でもない。
まだ、ほかに僕がいるような、そんなことまで考えてしまう。頭がどうかなりそうだ。
僕は、気が付くと外を歩いていた。風が少し冷たいな。気持ちいい。
大きな木がある。木の下で読書をしている子。そっと近寄ってみる。
その子はにっこり微笑んで、挨拶をしてくれた。僕も挨拶を返す。
そして、僕は帰路についた。もう気持ちが落ち着いていた。
、、る、、、るるる、、、ぷるるる、、、「ぷるるる、、、」「はい、もしもし」
「寝てたのぉ?」「ううん、おきてたよぉ」僕は意識がもうろうとしながら話をした。
どうも、寝ているのに、起きていたっていう癖がある。悪い癖。
まえなんか、電話で話した内容を全く覚えてない時があった。あの時はびっくりした。
もう、そんなことはないようにしないとね。
「どうしたの?」「来週の日曜日、遊ぶって言ってたけど、だめになっちゃった。」
えー、そんなぁ。。。しょーがないか、残念だけど。「うーん、わかった。」
「ごめんね、またねー。」「はーい、まったねー」
久しぶりに智恵と遊べるチャンスだったのになぁ。残念だ。まー、いいや。
そういえば、あれからネットしてないなぁ。僕は、久しぶりにパソコンに電源をいれた。
メールがきてる、、、えっと、工藤さんと、なおこだ。それと智恵。
あー、そういえば、メールアドレス教えてたんだ。忘れてた。。。
内容を読んで、メールを返信した。もう、たいした内容を書いていなかったな。
僕には、メールが向いてないんだと思った。だから、これからもあまりメールはしないな、きっと。。。
種
S・E・E・Dって、種をまくっていう意味らしい。
なんとなく、辞書を調べてみた。ロミオとジュリエットのお話ででてきたのかな?
僕は、今までどんな種をまいてきたのだろう?もしかすると、そろそろ花が咲くのかな?
—でも、僕はまだ気付いていなかったんだ。 夢という大きな花を咲かせるためには、努力という栄養を与えなければならないことを。
「もしもし、まりあ?」「はい、そうだけど、だれ?」「琴美ですけど」
僕は、あれから古田聖子に会っていた。ちょうど、なおこの件が終わって、
フラフラしていた時だった。僕は、琴美ちゃんのことを聞いていた。
聖子は、琴美ちゃんと家が近いらしく、、、ってことは僕とも近いのか
今でも連絡を取り合ってるらしい。だから、今度琴美ちゃんから連絡があったら、
僕に電話してと、いってもらうことにしていた。
そして、琴美ちゃんから電話がかかってきた。。。
「もしもし、お久しぶりです。」僕は、ちょっと恥ずかしいのと嬉しいので言葉が震えていた。
「僕のこと、覚えてた?」「うん、覚えてたよ」
僕は、少しの間、琴美ちゃんと他愛のない会話を続けていた。
本当に、ひさしぶりだった。約10年ぶりに彼女と話したので、話題がなかなか尽きなかった。
僕は、ふと、成人式のことを思い出して、琴美ちゃんに聞いてみることにした。
がちゃっ。電話はもう切れていた。彼女が先にきったのか、それとも僕が先にきったのか。。。。
そんなことは、どうでもいいんだ。ただ、彼女に何も言ってあげられなかったんだ。
成人式の日、僕は琴美ちゃんがいると思った。本人かどうかはわからなかった。
だから、電話をしてみた。もしかしたら琴美ちゃんだったんじゃないのかな?そう思ったから。
でも、あれは琴美ちゃんではなかった。全く違う人だったんだ。
琴美ちゃんは、今入院しているといっていた。重い病気だそうだ。
成人式の日は、彼女は出たかったらしいけど、先生が許可してくれなかったらしい。
外にもでることができないんだ。歩くことだって、、、
僕は話していて、涙がでていた。軽い気持ちで話をしていたから。
どうして、そのことを教えてくれないんだよ、古田ぁ~。。。
もうすぐ、お見舞いにいくね。それまでまっててね。
ことみ
僕の家の近くに大きな病院がある。僕は、この建物があまり好きではない。
健康だから入院はしたことないけど、あまり近寄ったりはしないなぁ。
親戚の兄ちゃんがバイクで事故ったときは、嫌々いってたけど。
でも、基本的には行かない。だって、僕まで病気な気分がしてくるんだもん。
受け付けで琴美ちゃんの部屋を聞いた。4階の奥の方の部屋だった。
そこに、琴美ちゃんがいた。。。
僕は、こんこんっと、小さくドアをノックして、彼女に近づいた。
彼女が琴美ちゃんだってことは、すぐにわかった。だって、君は僕の夢の中にでてきてた人だったから。
君は、小さく挨拶をしてくれた。いつか、大きな木の下で挨拶をしてくれた女の子を思い出した。
まるで、あの時のような優しい笑顔で僕を迎えてくれた。
彼女の腕は、僕が触ると折れそうなほど、細く繊細なものだった。
彼女の側に座って、僕は笑顔で見つめていた。
僕は、彼女の手をにぎり、笑顔を絶やさなかった。。。
僕は、またあれから夢をみていた。女の子の夢と、小さな少年の夢。
彼女は、男の子と遊んでいた。砂遊びや、おままごとをして遊んでいる。
いつのまにか、僕も混ざっていた。砂のだんご。山をつくって、穴を掘って。
貝殻をみつけた。僕は女の子に手渡した。喜んでいたなぁ。
でも、女の子は、その貝殻を男の子にあげていた。彼は嬉しそうに「ありがとう」
って言っていた。意識が薄れはじめたころ、彼が女の子に、、、言っていた。
僕が目を覚ましたとき、少年と女の子の姿はなかったけれど、声だけは耳に残っていた。
「大きくなったら、僕のおよめさんになってね」
止めど無く涙があふれている。シーツに後がついてしまった。
僕は、涙をぬぐって、ことみに話しかけた。
「早く元気になってね」僕は、それ以上彼女に何もいえなかった。
ことみちゃんは、あの言葉、耳に残ってるのかな?
気が付くと、彼女はもう眠ってしまっていた。
僕は、そっと立ち上がり、静かに部屋を出ていった。
願いごと
小さい頃、願いごとはいっぱいあった。
大きくなりたい、空を飛びたい、お花やさんをしたい、おかしやさんがいい。
ケーキをいっぱい食べたいから、ケーキやさんもいいな。なんて。
でも、大きくなるにつれて、そういう願い事は僕の深いところへ消えて、
今では思い出すこともなくなっている。そんな願い事。
もし、叶うのなら、ことみちゃんの病気が早くなおりますように。
そうしたら、僕は、もっともっとがんばっていい子でいるから。
今日も、僕は琴美ちゃんのお見舞いにいく。あれから毎日通っている。
ただ、元気になっているのかどうか、僕にはよくわからない。
最近、彼女はすぐに寝てしまう。僕が行くだけでもかなり体力を使ってるみたいだ。
でも、病院に行かずにはいられない。
僕は、病院では琴美ちゃんとはあまり話さない。でもわかるんだ。
だって、彼女とは、夢の中で毎日お話してるから。
だから、僕はいつも彼女の側で本を読んであげる。楽しそうな顔がみたいから。
雨が降ったので、のんびり病院に行ってると、途中にケーキやさんができていた。
いつのまに、こんなところにできたんだろう?そう思いながら、少し覗いてみた。
そこは、ケーキの甘い匂いが漂っていて、僕はすぐに食べたくなった。
ことみちゃんに持っていってあげよう。そう思って僕は、ショートケーキとチョコレートを買った。
無音
僕は、友達と遊んでいた。どこか遠くで煙がでている。僕はじっと見つめている。
なんだろう。火事かな?そう思いながら、友達と二人で近寄ってみた。
別にたいしたことはない。なーんだ、そう思いながらとぼとぼ歩いている。
向こうに知らない、いや、顔は知らないけどなぜだか知ってる子が歩いてる。
その子を見つけた時に、僕は何か考えていた。何を考えていたかわからない。
でも、きっと何かわかったんだ。僕はその子の後を追っていった。
みつからない。僕は探した。いつのまにか一人になっていた。
くたくただけど、じっとはしていられなかった。僕は近くの川を眺めていた。
子どもが遊んでいる。そうか、もう夏だもんな。涼しそうだ。
子どもが水をかけてきた。冷たいなぁ。そう思いながら、僕は家へ向かった。
どのくらい歩いただろう。近くでさっきの子をみつけた。僕はおいかけた。
彼女は僕に何か話し掛けている。でも聞こえない。何を言ってるの?
ねー、もっと大きな声でいってくれないと、わかんないよ。ね!?
いつのまにか、また、その子はいなくなっていた。
周りで何やら音が聞こえる。何の音だ。。。ぴーぴーぴー・・・
気が付くと、僕は病院のベッドの側。ということは、ことみちゃんの病院かな?
でも、近くには琴美ちゃんはいない。廊下に出る。どこにいるんだろう。
フラフラしてると窓があった。僕は窓から外を覗き込んだ。涼しい風が僕を包みこむ。
大きな木がみえる。あそこに、、、ことみちゃんらしい人が。そんなことはないんだけど。
僕は、あの大きな木の下に行ってみた。そこには、女の子が眠っている。
ぼくは、そっと近づいた。彼女の側に座ってみる。
どれくらいしただろう、彼女が目を覚ました。そして、僕に、「いってくるね」
そう言い残して、僕を後にした。僕は「行ってらっしゃい」彼女に言った。
そして、僕は雨の中、道を歩いていた。。。
雷
僕は、雨の中、フラフラ歩いている。傘もささずに。
意識があるようで、ないような、そんなふわふわした気分。
あのあと、そう僕はケーキを買ったあと、病院にいったんだ。
そして、いつものように彼女の病室へ。でも、彼女はまだ寝ていたんだ。
だから、僕は側で彼女が起きるのを待っていた。目が覚めたら、彼女の好きなショートケーキを、
僕が食べさせてあげようって。早く起きないかな?僕は窓の外を眺めていた。
どれだけ待っても彼女は目覚めてくれない。あれ?
僕は彼女にそっと近づいた。琴美は、、、呼吸をしていなかった。
僕は、恐怖していた。背中が冷たくなり、足ががくがくした。
先生を呼ぶことを、思い付くまでに、時間がだいぶかかった。
僕は、側にあったブザーを押し、側の椅子に座り込んでしまった。
琴美は、死んでしまった。。。
僕は、涙がとまらなかった。ふらふらと、どこにいくでもなく歩いていた。
雨が強くなってきた。僕は、まるで川で溺れたかのように、びしょぬれで、
焦点もあっていなかったらしい。
ただ、僕は、琴美の死んだ事実を認めたくなかった。
ただ、それだけなんだ。
近くで、大きな雷がすごい音をたてて落ちた。
その雷の光は、僕の心の中を写すような、そんな大きな光を放っていた。
雨がやみ、雨雲がどこかへ消えると、僕の心の中のなにかも、どこかへ消えてしまっていた。
ただそこにあるのは、人間の形をした、人形のようだった。。。
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