しんじ物語

俺は勇者だ

「もしもし?勇者しんじです。」
「はい?」
「勇者し・・」

  ガチャ・・・ツーツーツー

どうもうまくいかない。
俺は勇者なのに。

忍者から転職しました。
忍者って、すごいですね。いろいろ。
なにをやってきたかって?気配を殺して、相手のことをストーカーしたり。
違う、相手を調査したりするのに十分に使えました。
本当は、その職業をいかして探偵になる予定だったんだけど、
やっぱ、今は勇者でしょ?
ということで、勇者にちぇんじ。

右手に剣、左手には、ま、いいや。とりあえず剣さえあれば勇者っぽいな。
とりあえず、これでよし。
これで。
服装もそれなりなはず。でも、まだまだ勇者になったばかり。
なんにもそろってません。
こんな剣で戦えるのかなぁ?

とりあえず、家をでました。
ふらふらしてると、警察官という職業の人に出会いました。
みられてます。
あつい視線を感じました。
ふふ、きみも勇者にあこがれてるんだね
そう思っていた矢先、俺に近づいてきて尋問してきました。
「きみ、これはなんだい?」
「勇者の剣。」
銃刀法違反で逮捕されました。
な、なぜだ。
「俺は勇者だー!!」

俺は、面接というものを受けました。
勇者なのに。でも、まだ勇者の紋章なんかもってないです。
とりあえず、でっかいことゆっておきました。
「きみはいままでなにをしてきましたか?」
「忍者」
「きみは、どうしてここにいるんですか?」
「魔王を倒すために、経験をつみたかったから。」
「それでは、次の方」
おれは、どうなったんだ?
「きみ、なにをしてるんだ、さっさとかえりたまえ。」
なんだか、むかついてきたぞ。
がたがたっと外から警備員がやってきました。
そして、俺をむりやり部屋から追い出そうとしてます。
「やめろ、なにすんだ、俺は勇者だぞー!!」
きがつくと、パトカーにのってました。
勇者しんじ、活躍をするのはまだまだ先のようです。

しばらくうちで休養。
モンスターは、どこにでもいるようです。
あの面接官は、なかなか強かったな。
悪の神官だったに違いない。
あいつの口からでた、魔法の言葉によって、モンスターが2匹はいってきました。
操るのがうまいですね。
あの2人は、任務だけを遂行するからくり人形のようだ。
ち、人形相手に戦うのはつらいけど、がんばったな。
後味悪いぜ。

今日は、鎧を買いにいきました。
今あるお金でかえそうなものは、、、これだな。ワイズのコート。
なかなか使える。防御力アップです。いい感じ。
今持ってる、コートの方が、実は防御力が高かったりして。
でも、かっこよさがアップするからいいや。
あとは、ないですね。アクセサリーは、クロムのペンダントもあるし。
しばらくこれで戦える。
なかなか防御力は高いな。
もうすぐ、皮のパンツも戻ってくるし。
こうなれば、ちょっとやそっとのモンスターなんかめぢゃないな。

久しぶりに外にでた。
吹雪をくらった。
「さむぃぃぃ」
耳がちめたい。ちきしょう、せっかくコートかったのに。
でも、その他はさすがに防御力高いな。
ぜんぜん寒くないや。
コートのジッパーをあげれば、はいできあがり。
シールドなんていらないぜ。
日々戦い。
そろそろ仲間がほしいな。
話し相手がいないと寂しいよぉ。

忍者時代のよっちゃんをゲット。
仲間にしてみた。これでしばらく寂しくないよぉ。
でも、よっちゃんは、自分かって。
せっかく計画的に手に入れた道具も、かってに使ってしまう。
こんなんじゃ、やっていけないぞ。
困った困った。
にんにん。

ゲーセンにいきました。
そこで、遊び人のよっちゃんを発見。
あれ?忍者じゃなかったの?
「忍者なんて、もう古いよ。これからは楽しまなくちゃ。」
遊び人よっちゃん。俺のパーティーに入りたいらしい。
結構です。
断ると、べろべろばーって、俺をあやそうとしてます。
さすが遊び人、あんまりまともなことはできそうにないです。
ちょっとむっときたので、一刀両断しておきました。
かなりクリティカルヒットです。
よっちゃん、泣きながら帰っていきました。
ちぇ、あの年で泣くなよ。みっともない。
そんなよっちゃん、48歳。

今日は、お姫様(彼女)のお城(おうち)にご招待されました。
「しんじ、お願いだからふつうにしててね。」
「まかされおー!!」
俺は、ふつうにしますよ。てか、いつもふつうだけどね。
しばらくすると、王様(お父上様)が帰ってきました。
「こんにちは。俺は、ゆ・・・(もごもご)」
姫が俺の口をふさいでいます。素早さは俺より上のようだ。
「しんじったら、ちゃんと自己紹介しなくちゃだめでしょ。ね?」
ちょっと姫が怒っているのがわかりました。にんにん。
「それにしても、きみがもってるのはなんだね?」
俺がいつも持ち歩いてる勇者の剣に気づいたようだ。
「これはですね、ゆ・・・(もごもご)つるぎです。」
相変わらず手が早いな、姫。
「しんじったら、剣道をなさってるらしいの。」
俺の目が一瞬きらんと光った。
「みせましょうか?」
でも、王様は無反応だった。
なんか、むかついた俺は、王様に襲いかかろうとした。
その刹那、姫が俺の耳元でこうささやいた。
「しんじ、お父様にはさからなわないほうがいいわ。」
なに!?
姫に止めてもらわないと、あやうく俺がやられているところだった。
さすが王様。猟銃使いとは。
王様に認められる勇者になるまで、道はまだ遠い・・・

奇襲をうけました。
油断してました。
勇者狩りです。
俺、ねらわれてたんですね。
敵はかなりの強敵です。
宿屋までストーカーしてきてました。
目が覚めると、持ち物がなくなってます。
つらいです。

一文無しになった。さっそくお仕事。
闇にまぎれて人の後をつけます。
あれ、俺がストーカーになってるや。
ちくしょう、なんで俺がこんなことやんなくちゃいけないんだ。
そう思っていたら、獲物がやってきました。
かもがねぎしょってます。
仕方が無いからねぎだけもらっておきました。
これはながねぎですね。
あとで役に立ちそうです。

電柱の影に隠れること4時間。
さすがに疲れました。
あれから人がきません。
そりゃそうだ、よく考えたらもともとここは人通り少ないんじゃん。
やれやれ。失敗。
収穫は、ながねぎだけです。
もう、俺は勇者じゃないですね。

勇者しんじにお呼びがかかりました。
ていうか、姫ですけど。
今日はお食事にご招待されました。
「お肉たべらんなーい。」と、姫がひとこと。
そこですかさず勇者しんじ。
「じゃ、俺が食べてやるよ。」
そういって、先ほど購入しておいたおにゅーの勇者の剣で、
「必殺稲妻切りぃ~。」
奇声とともに、肉が薄く切られている。
ふふっと軽く笑みをうかべ勇者しんじは今日もいく。

今日は、よっちゃんと一緒にバー(場末の酒場)にきてます。
なかなか雰囲気はいい感じ。
なんてったって、客がすくないからね。
毒(水割り)を飲まされて、そろそろテンションあがってきたな、ってところで、
勇者しんじ、勇者しんじ、われらの勇者しんじ~♪
あ、勇者しんじのテーマソングだ、この着メロは姫だなぁ。
「もしもしぃ、あなたの勇者しんじですぅ、ひっく。」
「もしもし・・・」
「はーい、きこえないよぉー、ちょっとまっててね。」
スペシャルマント(と思いこんでるコート)を手に、外へでました。
ああん、さむいぃ。さすがに夜は冷えるなぁ。
「ねぇねぇ、まだ話してて平気?もう、夜中の3時だよ。」
気づいたら夜中の3時かぁ。
「わかった、そろそろもどるるる。」
バーに戻ると、、、扉に鍵がかかってます。
あれ?おっかしーな。
ガンガン・・・あけろよ。おれは勇者だぞー。おーい・・・
どうやら閉め出されたようです。
魔王め、俺をよっちゃんと引き離すために、この扉を封印するとは。
(てゆーか、俺、のみにげ?)

クラッときました。
ああ、魔法を使われたようだ。身体がいうことをきかない。
言葉がなかなかでてこない。
ああ、このまま俺はやられるのか。
「しんじ、あんたなにやってんの?」
気がついたら、ベッドの下におちそで落ちない俺がいた。
とりあえず、ベッドの上にのぼりながら、のぼれずに下に落ちてしまった。
あははと苦笑い。
それにしても、、、
「おかん、今日あかちゃんみにいくんだろ、俺もいくよ・・くしゅん。」
はぁ。さっきの夢の続きのようだ。
「あんた、風邪ひいてんじゃないだろうね。そんなこはつれてかないよ。」
おかん、きっぱり。
「うう、そんなことあるわけないじゃん。なんてったって、俺はゆ・・・(げほげほ)」
おれは、ゆうしゃだい。
「げほげほゆってんじゃないの。あんた熱はかってみな。」
・・・
ぴぴぴっ
えっと、体温は、、、、
39度5分39度5分39度5分
きゃぁぁ。
「あんた、これじゃだめだね。また今度にしな。」
えー、やだやだやだやだ。
「なんでだよぉ。俺はゆ・・・(ごほごほ)しんじだぞ。」
とゆってる最中に、もういなくなっちゃってる。
しどい。

だいっきらいなホスピタル。
いやだーっていってるのに無理矢理つれてこられた。
医者がにやりとわらってる。
ちくしょう、こいつら魔王の手先に決まってる。
今、俺をやっちゃおうって思ってるんだ。
「はい、静かにしましょうね。」
看護婦に注意されてしまった。
ちょっと、しゅんってなってしまった。
萎えちゃったね。なんか。
おとなしく、レントゲンをとった。
「はい、じゃぁお注射しましょうね。」
ぴこーんぴこーんぴこーん、なんだか胸がどきどきしてるぞ。
「いっ」たくなーい。
ああ、でも体中に悪魔の気がはいってくるのがわかる。
勇者しんじ、やばい。

「かんごふさーん、ねむれないよぉー」
ぎゃーぎゃーぎゃー。
怪しいやつらがいっぱいだ。
夜中にさけんでんじゃねーよ。
おかげで眠れやしねー。
にこにこした看護婦さんがそばにきた。
俺、うっすら目をあけてのぞいてたんだよ。
そしたら、いきなり注射をぶすって。
あいつは、逝っちゃったらしい。
それっきりおとなしくなった。
さすがに勇者にそんなことしないだろうなぁ。
どきどきして眠れないじゃん。
次の日まで目がさえてしまったので昼間に寝てた。
そして、あれ。俺、夜目が覚めてるってことは・・・

やっと退院できた。
おうちにかえると、誰もいない。
あ、いた。我が家のボス。ホワイトドラゴン(本名:ななちゃん。♀。3歳)
部屋の入り口まで、たったったってやってきて、すぐにまたどこかへ消えてしまった。
全く一番自由なやつだ。
たまに、しっぽをふんでしまうときがあるけど、
そのときは、自慢の爪ひっかきで攻撃をしてくる。
なかなか怖い。
勇者しんじともあろうものが、ホワイトドラゴンには手をやいている。
あいつの爪に毒をぬれば、一撃必殺だな。
そう思っている矢先に、トムソーヤ(本名:田中和夫。♂。12歳)がやってきた。
「あれ?おまえ、どうやってここにきたんだ?」
にんにんにん
この声は・・・
忍者の姿をしたよっちゃんが手裏剣らしいものを手に、部屋の中にはいってきた。
「だからさぁ、よっちゃん、犬は部屋の中にいれちゃだめってゆってるだろ?」
うざいので、トムごと一刀両断。
そ、そんな・・・
と、いいそうなよっちゃんをしりめに、追い出しておいた。
ていうか、よっちゃんもいい年こいてなにやってんだか。
よっちゃん(田中義男。♂。48歳)

姫に退院祝いにお食事に誘われた。
今日は、外食♪
高級そうなお店の入り口を通過しようとしたとき、魔の門番に呼び止められた。
ぺらぺーらと、魔法を唱えている。俺にはさっぱり意味不明。
姫が訳してくれた。
要するに、
「おまえみたいな服装のやつは、この高級感漂う当店には一歩たりともいれさせねー。
とっととかえりやがれ、いえろーもんきー。ごーほーむ。」
らしい。
いつもなら、仕入れたばかりの王者の剣で一刀両断するところだが、
姫にめんじて怒りを抑えておいた。
というより、姫がすかさず用意していたネクタイを俺に渡してくれた。
これで中に入ることができるらしい。
魔の門番は、くやしそうに俺をみていた。
さすが姫。トラップなんて、なんのその。

店内は、さすがに雰囲気はいい。
よっちゃんといった場末のバーとは、比べものにならない。
「比べちゃだめよ。」
にこにこしながら奥へ向かっている。
いつのまに、そんな技を。
ボーイが姫に視線を送っている。
「どうぞ。」といって、姫の前の席のいすをボーイが引いたので、姫の身に危険を感じ、
俺が座ろうとするとすかさずさらにいすを引かれた。
こいつ、なかなかやるな。
姫が腰をおろすときには、すっとタイミングよくいすを戻していた。
姫が俺に、もうって感じでみつめてる。
しょうがないな。おとなしく席についた。

ふぅ、めしめし。
はらへっちったよ。
のどかわいたなぁ。目の前にあったお水をのもうとしたら、
ボーイがすかさず俺のところから奪い取った。
「これは、おのみになれませんよ。」
なんだよなんだよなんだよ。俺がなにのんでもいいだろ。
姫は、ふふふって笑っている。
しばらくすると、ソムリエがワインをもってきた。
うむうむ。そろそろ飲みたいと思っていたところ。
そしたら、俺が頼んだワインを、俺より先にソムリエが試飲した。
なにおまえ俺のワインのんでんだー!って襲いかかりそうになったが、
今日は姫に招待されたんだ。おとなしくしよう。
むっとするのをぐっとがまんして、ボトルをつかもうとしたら、
悪の神官(ソムリエ)が、すかさず俺のもとから奪い去った。
かなり噴火しそうになった。俺は勇者しんじだぞ。ぶつぶつ・・・
悪の神官がさったので、今度はいいだろうと思い、ワインに手を伸ばした瞬間、
いつのまにかちがう悪の神官が俺の前に現れて、ボトルを奪いとる。
ああ、俺が完全回復していたら・・・そう思わずにはいられなかった。

姫をお城へ送る帰り道、変な人をみつけた。
なんか、車椅子をおしているおばあさんがいたんだけど、
車椅子にのってるのは、人じゃなくて、買い物ぶくろだった。
んー??
車椅子は、買い物ぶくろをおくためのものだったのかぁ。
姫がくすくす笑ってる。
それに気づいたおばあさんがこっちをみた。
うっすらにやっと笑った。
みつけた、大魔王だ。

大魔王を追いかけて、ある建物に迷い込んだ。
うう、ここは、なんて蒸し暑いところなんだ。
ホワイトドラゴンが先に追いかけている。
でも、なかなか追いつかない。
やばい、このままでは迷子のこねこちゃんになってしまう。
こんなときは、よっちゃんでもよぶか。
そう思って、魔法を使おうと思ったが、どうやらここでは使用できない。
むぅ。こんなところに結界をはっているとは、
もしかしたら、大魔王の居場所まであともう少しなのか。
しかし、だんだんと体力の消耗が激しくなった。
やばい、そろそろ水を補給しないと。。。
体中が、解け始めた。いや、違う。汗をかいているだけか。
髪の毛が、あつくなってきた。
息を吸うと、燃えるようにあつい。
体中が、ちりちりと音をたてているようだ。
俺は、ここまでなのか。あといっぽだったのに。
そう思い、俺はその場に崩れ落ちた。
その刹那、俺の背後から物音が聞こえた。
だんだんと、俺のそばに歩み寄ってくる。
魔王か・・・
もう、どうすることもできない。あとは、死を待つのみ。
少しずつ足音が大きくなってきた。
魔王め、せめて一撃。
そう思って、剣を振り下ろそうとした。
「なんだしんじ、ここにいたのか。」
オヤジ
「そろそろ帰るぞ。さうな気持ちよかっただろ?」

うとうとしていた。もう、こんな時間か。
少しお酒を飲み過ぎたようだ。
気がつけばもう日も沈みかけていた。
今日は、姫に誘われたので、久しぶりに姫のおうちにいった。
ああ、ひろいなぁ。俺んちなんかとはやっぱ比べものにならないわ。
(比べちゃだめよ)
一瞬姫の声が聞こえたような気がした。
最近、、、寝不足かなぁ。こんなんじゃ魔王を倒せないぞ。
いつかは、姫とこんなお城にすみたいなぁ。
(一緒に住もうね)
むむ。なにやつ。
しかし、ふりかえっても誰もいなかった。
「なにしてるの?」
姫が広間から俺を呼んだ。
「いや、べつに。」
なんにもないでござる。にんにん。
部屋にはいると、とらがいた。しかし、とらはすでにしかばねだった。
「これすげー。」
俺は、とりあえず、大の字になって、虎の毛皮の上に寝転がってみた。
姫はソファーに座って俺のほうをみていた。
ちっ、これはまだ姫の許容範囲か。
そう思った俺は、虎の毛皮を羽織って姫に襲いかかった。
その瞬間、王様が猟銃を構える気配を感じた。
おれ、まだしにたくないよぉ。

「フリーズ。イエローモンキー、ふぁっくゆー。ふぁっとあーゆーどぅーいん?」
(動くな、このくされやろう。ここでなにしてんだ?)
「えっと・・。えっとってのは、、うう、うえぇる・・、あいらぶぷりんせす、で、いいのかなぁ。」
あまりに心臓がどきどきゆっていたので、あることに気づくまでにずいぶん時間がかかった。
なんか言葉おかしくない?
王様がそんなこというはずがない。
ゆっくりとふりかえると、よっちゃんがけたけた笑いながらこっちをみてた。
「ぷ、しんじ、まだ甘いな。」
うう。よっちゃんの分際で、俺様をからかうとは。
笑いながら、よっちゃんのもとへ近づきながら、自分の攻撃できる間を狭めていった。
俺の間に入ったと同時に、俺はよっちゃんに向かって、王者の剣で襲いかかった。
その瞬間、よっちゃんは、分身の術を使い、持参したぬいぐるみを盾に、
するりと攻撃を交わした。
「ま、まさか、その技は、忍法変わり身の術?」
にんにん。
一面に羽毛がとびちっている。
ふふふと笑みを浮かべてよっちゃんは、どろんぱとその場から消えさった。
「もう、しんじったら、ちゃんと後かたづけしてよね。」
そんなばぁーかなぁー。
にんともかんとも。

もしもし電話の魔法を使おうと思ったら、はらへりんこで使えなかった。
仕方なく、電話ボックスへ。
2台電話ボックスがならんでたんだけど、もう一つのボックスから、
村人Aがでてきた。
何か、ぼとっておちたから、注意してみると、あんだぁうえあ。
村人Aは気づかずに自分のわらの家へと帰っていってる。
うう、どうしたものか。
勇者ともあろうものは、村人のために落とし物を届けないといけないんだけど、
どうにもな。
村人Aの顔が・・・まさに、悪魔のようだった。
にんにん。
悪魔を救うほど、俺はできちゃいないぜ。
なんて勝手に思ってるけど、結局は悪いこちゃん?

となりのボックスから、村長がでてきました。
「お、村長、まだいきてたのか?」
「おお、勇者さま。おかげさまで、まだこの通り、ぴんぴ・・」
ぐきぃっといやな音とともに、村長が倒れ込んだ。
「うう、勇者さま、わしがなきあと、この村のことを頼みました・ぞ・」
がくっとうなだれている。
「おい、村長、村長。」
何度呼んでも、返事がない。ただの屍のようだ。
「ちょっとまって」
遠くから神様の声が聞こえてくる。
後ろを振り向くと、女の子のスカートがめくれた。
「えっちな風ね。」
びくっと、村長が目を見開いた。
「ふぅ、たすかったわい。」
通りすがりの女の子に助けられたってことか。
ていうか、おいおい。
「村長、あんた、なに気を失ったふりしてんだよ。」
「あはは、勇者さまには、かてませんな。」
にんともかんとも。

しばらく村長と話していた。
最近の村の様子とかね。
「それにしても、勇者さま、いつもかっこいいですな。」
「あたりまえ。」
その一言をきくと、村長が俺に襲いかかってきた。
「勇者さま、いくらそう思っていても、ふつうは断るものですぞ!」
みぎあっぱーが飛んできそうな勢いだったけど、さすが村長。
すろーもーしょんで、動いている。
「てかさ、村長さん、もう年なんだから、そんなあばれんなってば。」
軽く攻撃を交わすと、転がっていた、村長の杖を拾ってあげた。
「てか、あれだよ。もう、もんすたー(車)がうようよしてる道にでちゃだめだよ。
そんなに死に急がなくてもいいぢゃん。」
そういうと、ううっと涙を流し始めた。
「わしが生まれて80余年。ぶつぶつ・・・」
ああ、いつもの長話か。
そう思っていた次の瞬間、俺に違う攻撃をしかけてきた。
「はぶっ」
気がつくと、俺の右手に、村長の入れ歯が・・
はわわ・・っと口に手をあてておびえている。
「どうやら、ほんとに俺とやりたいわけね?」
一刀両断をして・・・

ふぉっふぉっふぉっ
急に、村長(おじいちゃん)が不気味な笑い声をあげ始めた。
「勇者よ、この日をまっておったぞ。」
?!
ま、まさか・・・おまえが・・・
「そう、そのまさかぢゃ。おぬしが探し求めていたのは、このわしぢゃ。」
しわしわだらけだった、村長の顔が、みるみるうちに魔王へと変化していった。
「ばかな勇者め、いままでわしに育てられたのに、一度も気がつかぬとは。」
と、いっているらしい。
入れ歯がないので、口がもごもごゆってるだけ。
村長は、俺から入れ歯を奪い取ると、自分の口にセットし直した。
「ふふふ、これでうまくしゃべれるわい。」
悪のオーラが一面にひろがってきた。
あやうし。

入れ歯に、しびれ薬が塗られていたらしい。
身動きができない。
「くふぁっくふぁっくふぁっ」
魔王は、俺の顔を見ながら大いに笑った。
「ふぁっふぁっふぁっ・・・ふぁー」
あまりに笑いすぎた魔王は、息をするのを忘れて呼吸困難におちいったようだ。
「ふふふ、魔王め、おまえのことななんでも知ってるんだよ。」 俺は、にやりと笑った。
村長は、いつも笑いはじめると、呼吸困難におちいる。
いつも面倒みてたからな。十分承知のすけ。
魔王は、ばたばたと、ころげまわっている。
次の瞬間、ばひゅーという音とともに、村長は復活した。
うう、入れ歯がとんでくる。
かぶっ
「い、いれば・・・」
「しんじ、なにいってるの?」
がばっと目が覚めると、俺は姫の部屋のソファーで横になっていた。
「お、俺はいったい・・・」
ふふっと笑っている。
「掃除しおわって、疲れてねちゃってたんでしょ?」
ああ、そうだった。
夢だったのか。

「ねぇねぇ、しんじぃ~。帯がきついの。」
珍しく姫が着物を着ている。
ピンク色の着物、よく似合ってるな。
「えー、どうすんの?」
姫は、ふふふっと笑みを浮かべた。
「もう、わかってるでしょ?帯をほどくの。ひっぱってくれる?」
どうやら、四角い箱の中でよく見掛けるお芝居みたいなやつのことか。
ちょっとドキドキだ。
「いい?」
「うん。」
俺は、おもいっきり帯をくるくるとまわしはじめた。
姫がくるくるまわって、、、
「忍法逆噴射~」
途中までまわっていた姫が、突然逆周りで、俺に襲い掛かってきた。
う、しまった。こいつは・・・
そう思った時には、もう遅かった。
姫になりすました魔王の娘は、もうすぐそばまでやってきている。
あやうし、しんじ。

「相変わらずだね。」
とぉーっていっぱつ蹴りくらっちゃったよ。
ぐぅ。さすが魔王の娘、破壊力抜群。
「や、やぁ。お久しぶり。」
(いつも、攻撃してくるなよー、ばーか、と思ったけど、
ゆったらまた攻撃されそうなのでやめておいた。)
「え?何かゆった?」
そうだった、こいつは姫より読心術がすごいんだった。
「いえ、なんでもありません。」
「そうでしょう?」
フフフと軽い笑みを浮かべている。
「ていうか、相変わらずって、おまえのほうだろ?」
「おまえ?」
ピクっとした反応を感じ、俺はすかさず言い直した。
「いえ、姫です。」
そうだろ?といわんばかりの顔をする。
「相変わらず、女とこんなことやってるんだね。」
相変わらずっていうのが、よくわかんないんだけど。
とりあえず、昔を軽く思い出した。

俺と、こいつは忍者時代の仲だ。
俺より才能に恵まれ、努力も俺よりしているので、
明らかにランクが違うんだよね。
だって、忍者になる前に、すでに勇者と賢者をマスターしてたから。
まぁ、そんな俺たちも、まぁまぁ?仲よかったと思われる。
「そんなんじゃ、ぜんぜんだめじゃん。」
って、いつもつっこまれてたなぁ。
この姫のおかげで、俺もそこそこ精神的に成長したんだろうけど。
でも、いつだったかなぁ、途中からいなくなったんだよな。
(ていうか、そっこー忍者もマスターしてたきがする。)
「しんじは、だめねぇ。」といいながら、相変わらずふふふと笑みを浮かべていた。
あ、俺ってば、結構すかれてたのかなぁ?
そういう意味で相変わらず?
「なに勘違いしてんの?」
軽くつっこまれた。
変なことは考えられませんね。

「今なにしてんの?」って言おうと思ったけど、愚問だった。
みればわかる、このオーラ。
「へー、上級職のスーパースターもマスターしたんだぁ。」
あれ、姫?
「どうした?」
俺が声をかけても、相手にしてくれない。
なんだよ。もう・・・
ちょっとふてくされていると、
「あ、仕事がはいった。」って、一言ゆってさっていった。
まぢかよ。
スターは大変ですね。
にんともかんとも。

勇者しんじの知名度もだいぶ上がってきたようです。
「写真とっていいですか~?」とか「握手してください」って、
よくきます。
ふふふ、ようやくわかったか。
これで、王様に認められる勇者になったかな?
女の子がいっぱい周りにいる。
ハーレムだ。うっしっし。
そんな時、ふと思い出した。
「ご飯よーって。」
あれ、俺おなか空いてないのに。
・・・しんじ・・・しんじ・・
んぁ?
ざざざーとテレビが砂嵐を流していた。
んだよ、こんな番組ながしてんぢゃねー。
そう思いながらリモコンでスイッチを消した。
うう、うっかり眠ってしまっていたようだ。
「しんじ、ご飯ってさっきからゆってるでしょ?」
どうやら、リアル世界でご飯のようだ。
うっせーなー。こっちはゆっくり遊んでいたいんだよ。
「早く食べにきなさい!!」
ちぇ。仕方ない。
とりあえず、セーブしておくか。
えっと、「しんじ物語」っと。
よし、めしくいおわったら続きをするぞ!
そして、しんじはリアル世界に戻ったのであった。

にんにん

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