俺は勇者だ
ただいま準備ちう。
まだかよ。おせーな。
早くやりしろよな。
どうやら疲れてるようだ。瞼が重くなってきた。
スヤスヤ・・・
「おーし、今日は戦闘に必要なところだ。
みんないいか?ちゃんとメモしろよ。
ここは、試験にでるぞ。」
賢さアップするために、ある授業に潜入したよっちゃん。
少しは賢くなったのか?と質問してみた。
しかし、よっちゃんは首を横にふってる。
まぢで?
俺はちょっと不思議に思った。
よっちゃんがうけた戦闘の授業は、なかなか使えるはずなんだが。
いつか俺を捕まえようとした悪の神官にも立ち向かえるはずなのに。
それとも、よっちゃんがちゃんとお話をきいていなかったのか?
謎は深まるばかり。
って、謎解きしてるわけぢゃねーんだよ。
よっちゃん、どうしたんだ?
そうすると、よっちゃんはぼそぼそ話をはぢめた。
よっちゃん曰わく。
「いいか、おまえたち。先生がな授業をしていたんだ。
そうすると、生徒が寝ていた。
そこで、先生は持っていたチョークを生徒に投げつけた。
せんせい攻撃ってね。
それを生徒が受け止めて、先生に投げ返した。
せいとー防衛ってね。」
よっちゃんが、一人でウケてる。
ああ、本当だ。それ、賢くなってねーぢゃん。
思わず俺も、つぼひっと。
ほかにどんなことをゆってたのかと聞くと、
ある店に組長がいました。
そこへ、銃をもった人が襲いかかりました。
銃は三発うちました。散髪やー。
それでも生きていた組長に、今度は刀で襲いかかりました。
一本なのに、日本<にほん>刀。
あとは短髪<たんぱつ>なのに、挑発<ちょうはつ>だとか。
俺はちょっと関心しました。
すげー。
かっこいいぜ、その先生。
ちぇ。俺もまだまだだな。
「よっちゃんばいばいー。」
(怒)
「よっちゃん、またねー。」
(怒)(怒)(怒)
「よっちゃん、お疲れー。」
(怒)(怒)(怒)(怒)(怒)(怒)(怒)(怒)(怒)(怒)
「よお、よっちゃん。帰るのか?」
ぷっちーん。
「あぁ?よっちゃんよっちゃんうるせーよ。
よっちゃんさんだろ?わかっ・・・ぐぇ」
俺にそんな口をきいて許されるはずがない。
とりあえず一刀両断。
よっちゃんは、そんなまさかというような悲しい顔をしている。
「だってさー、みんな俺のことよっちゃんって呼ぶんだよー。
年上とのつきあい方わかってるのかなぁ?」
ってゆってるけどさ。
よっちゃん。はっきりいって一つ違うぜ。
よっちゃんさんじゃなくて、よしおさんだろ?
ある日、よっちゃんは不機嫌になっているようだった。
学校の連中とけんかしたらしい。
「もういい、ここからでていってやるー。」
みんな知らん顔してたみたい。
そしたら、「本気だからなー。絶対の絶対だぞー。」って。
それでも、へーってなもんだ。
「わかってるのかー。あの学校の前の喫茶店を左に曲がった、大きな倉庫の右に回った・・・
広場の前に、もういっちゃうからなー。」
シーンとしてる。
「いいか、広場の前だぞ!!」
そうやってよっちゃんは、学校をでていった。
広場の前っていうのは、学校の目の前なんだけどね。
みんながどうしよっか?ってゆってた。
たまに、よっちゃんもはぶてることがあるようだ。
でも、学校のやつらもよっちゃんのことはお見通し。
よっちゃんの好きな野球をやり始めた。
一方よっちゃんは・・・
「ちぇ。あいつら俺がいないのに心配もしていないのかなぁ。
もう、10分もたったのに。
いや、もうすぐ迎えにくるだろう。
まだかなぁ・・・」
そう思っていたよっちゃん。でも、不安になって少し学校の様子をのぞきにいった。
カキーン
「よーし、ライトの方にいったぞー。」
学校はかなりにぎやかだった。
まわりには見物客も集まってきてた。
あ、よっちゃんだ。
よっちゃんを発見したキャッチャーもりつねは、よっちゃんがみてるゾ!サインをだした。
かっきぃーーーーーーんっ!
「後ろいったぞー、レフトだいじょうぶかー。
もっとさがれもっと・・・」
そう、よっちゃんがきっと偵察にくることはわかっていた彼らは、
あえてよっちゃんのいる方へと球をとばしたのだ。
当たり前のように、よっちゃんはその球を受け止める。
「おー、よっちゃんさんきゅー。じゃあよっちゃんレフトね。」
こうして、よっちゃんはチームの和に再び戻るのであった。
ちゃんちゃん。
「きゃーモンスターだー、大変だー。」
どしーん、どしーん、と金色に燃えているモンスターが現れた。
「勇者しんじ、早く、モンスターだよ、モンスター。」
よっちゃんが、報告にきた。
「んぁ?なにゆってんだよ。近頃モンスターなんてでてきやしなかっただろ?
夢でもみてんじゃないのか?」
よっちゃんは、顔を真っ赤にして首を横にふっている。
「ぶんぶん。」
て、よっちゃんはゆってるけど、それって首を横にふる効果音じゃ・・・
「わかったよ。敵は今どこだ?」
「今、ホワイトドラゴンが戦ってるよ。」
う、俺は思わず息を呑んだ。
な、なんて手強そうなモンスターだ。
金髪の男は、目をぎょろぎょろさせながら、まいペットと戯れてる。
猫好きなやつに悪いやつはいない!(はずだ。)
それにしても、なんで舌をだしてるんだ?
舌だしおばけか?
「はろー?ぐっもーにん。でぃすいずしんじすぴーきん(ぐっ)」
(もごもご。)
こ、この肌触り、この甘美な香り、そして、この幸せな気持ち(よさ)。ま、まさか・・・
「もう、しんじったら、それは電話でのやりとりでしょ?」
にっこりしながら姫が話しかけてきた。
「あ、そっかー。いっけねー。間違えちゃった。てへ。」
「いま、自分のことかわいいとおもったでしょう?」
(どきっ)
「そ、それにしても、あのモンスターはなにをしたいのかなー?
悪いやつとは思えないんだけど。。。」
「そうね。」
姫はにこにこしてる。
ピッカーン!
「あ、わかった。あいつは食い逃げ犯を捜してるんだ。
それも、俺の近くの人間。そうだ、犯人はおまえだー!」
(ばっちゃんの名にかけて!)
がらがらがっしゃーん。
「な、なんでわかったんだー。」
「そこ、普通俺じゃないって否定しろよなー。
名探偵しんじ様があんまり活躍できないだろー?」
「そこにいたのか。」
金髪の舌だしモンスター(通称まっちゃん)が、よっちゃんを発見した。
「おい、借りたものを返してもらうぞ。」
「しんじ、助けてくれ。このままでは捕まってしまう。」
子猫のような目で俺をみつめるよっちゃん。
うう、気持ち悪い。
しょうがないので一刀両断。
ホワイトドラゴンも、必殺つめひっかき。
が、傷は浅い。ホワイティーめ、モンスターに遊んでもらってご機嫌だな。
「あ~れ~」
よっちゃんは、モンスターに連れ去られたのであった。
悪いことはできませんね。
にんともかんとも。
「姫~。」
今日は、久しぶりにお城に招待された。
楽しみだ。
実は、姫のお城にはなんともスリリングな部屋がある。
あれは、この前姫の部屋を探していた時のこと。
「ったく、姫の部屋はどこだよ~。」
近くにいたメイドさんにきくと、
「ここは武器庫です。入らないでください。」とか、
「ここは牢屋です。入ってみますか?」なんていわれ、
ちょっとドキッとしながらお城を散策。
「こちらは、王様のお部屋です。」
「こちらは、お姫様のお部屋です。入らないでください。」
あ、やっとみつけた。
俺はあたりまえのように進入した。
ガタン、と音とともに床が大きく口をひらいた。
「たーすけてー。」
気がつくと、俺は牢屋の中にいた。
にんにんにん。
どうやって脱出しよう。
「きみも、姫に会おうと思ったのかい?」
わっ!
急に話しかけるとびっくりするだろう?
シリアスに決めている、そいつの顔をみると・・・
よ、よっちゃん2!?
「よっちゃん2なんて、呼ばないでくれたまえ。
僕は、あんな不出来な兄とは違うんだ。」
「それにしても、よっちゃん2はこんなところで何をしているんだ!?」
やれやれだという顔をしながら、
「いや、もうすぐ姫の誕生日だから、ちょっとリサーチをとね。」
「そう。姫はまむし酒が好きなんだぜ?知らなかったのか?」
俺はちょっと勝ち誇った顔をした。
「そ、そんなことくらい知ってるサ。」
「へー、姫は、あれに目がないからなぁ。
あれを今度姫にプレゼントしようと思ってたんだよな~。
ただ、俺にはあの特上まむしセットに手が届かないんだよなぁ。
あれは絶対姫のハートをゲットできると思うんだけど・・・」
「ふむふむ。」
よっちゃん2は、ノートにメモをとった。
にやり。
「さーて、僕はそろそろ家に帰るとしよう。」
「2、よっちゃんによろしこ!」
「わ、わかりました。」
顔をぴくぴくさせながら、牢屋をでていった。
「お、あいつは鍵職人か。おかげで俺も脱出できるわ。」
にんにん♪
そういえば、最近王者の剣の切れ味が悪いから、
武器庫から新しい剣を拝借しようかな。
そう思い、武器庫へと進入。
しかし、扉の前には、メイドさんが番をしてる。
よし、こうなったら・・・
忍法、ジュースの術!
「メイドさん、お疲れさまです。ジュースはいかが?」
「結構です。」
にんにん。。。
こ、こうなったら、 忍法、忍法、忍法・・・
そう考えている間に、メイドさんはいなくなっていた。
よし、忍法時間稼ぎが聞いたようだ。
にんにん。
武器庫は、暗闇で包まれていた。
あ、これは・・・名刀よっちゃん?
ガーン・・・よっちゃんは、昔武器職人だったなんて。
それを手にしたとたん、再び床が大きく口を開いた。
「あ~れ~」
再び牢屋に戻ってしまった。
「ということで、姫様、お誕生日おめでとうございます。」
「ありがとう。」
「姫!」
よっちゃん2が、特製まむしセット、ストラップ付きを持ってきた。
「どうぞ。」
きゃっ、と姫はかわいく叫んだかと思うと、
次の瞬間、大勢の男たちに囲まれて、2はどこかへと連れ去られていった。
「全く、困ったものだ。ね?、姫。」
「しんじ。」
そういって、熱いハグを期待したのもつかの間、
「だめでしょう?」
ふふふと笑っている。
ち、気づかれたか。
「あ、そうそう、姫、こういうのはどう?」
そういうと、俺は愛猫(?)ホワイティを姫に見せてあげた。
きゃっと驚いたけど(猫だけに)、
「かわいい♪」と喜んでくれた。
あやうく俺もどこかへ連れ去られるところだった。
ホワイティ、頼むからしばらくおとなしくしていてくれよ。
姫に懐いていたホワイティが急に走りだしました。
とりあえず、俺も後を追ってみました。
しばらくすると、岩陰のところに座っているホワイティを発見しました。
俺がそっと近づくと、
「やぁ、しんじかい?」
(みゃぁ~、みゃぁ?)
「ああ、そうだ。俺だよ。どうしたんだい?急に走り出して。」
俺は、優しく話しかけます。
急に、ホワイティがふーっと毛を逆立てました。
「てきだー、てきがきたぞー!」
(みゃ゛~)
そういって、また走り出しました。
ホワイティは、どこまでも走っています。
因縁の対決のようです。
遠くから、黒猫のボビーがやってきました。
あたりには、犬猫たちが集まり始めました。
誰かが、指パッチンで、パチッパチッとリズムをとっています。
と思ったけど、にくきゅうがかわいく当たっているようです。
「けっ、ホワイトさんよぉ。今日こそ決着をつけてやる。」
(にゃぁ~ん♪)
そういうと、ボビーは、後ろから自分より一回り大きい犬を連れていました。
ボビーの目はキラキラ輝いています。
「わっはっは、だれだ?おれさまに用事があるや・・・(ごほっごほっ)」
(わぉーぉ・・・)
その犬は、ホワイティをみて、せき込んでいました。
「にゃ、にゃんだ、ホワイティさん、ごきげんよう。」
(くぅ~ん♪)
相手の犬は、トムソーヤ。
「勝負あったな。」
(にゃ゛)
そういうと、ホワイティは、目を細めてボビーを睨んでます。
「く、くそー。こうなったら・・・。にげろー!!」
(にゃ~ん)
そういって、ボビーは逃げていきました。
あたりからは、ぱちぱちと拍手喝采・・・のように、
しっぽを地面にたたきつけてお祝いしています。
「これで、この町も平和になるだろう。」
と、なんとなく思いました。
最近、ホワイティの様子がおかしいです。
どうもやる気がない。
町に平和が戻ったからでしょうか?
いつもの場所でごろごろしてます。
姫がやってきました。
「どうしたの?」
姫がいるのに元気がありません。
しょうがないので、俺がホワイティの鼻をふさいでみました。
ふがふがゆってます。
おもしろいな、と思って遊んでたら、必殺つめひっかきを食らってしまいました。
「さわんじゃねーよ」と、聞こえたような聞こえないような。
にんにん・・・
あの声は!
「ドロンパ!」とよっちゃんが現れました。
俺の感度もなかなかいいな、よっちゃんがうんうんうなってます。
振り返りざまに、妖刀月影で一刀両断。
「ど、どろんぱ。」
にんともかんとも。
「な、なにするんだよー。」
よっちゃんは、泣きながら訴えてます。
ちょっと悪いことしたかな、と思った刹那、
ばぁ~っと小馬鹿にした顔をしていたので、
忍法水引っかけをしておきました。
そ、そんな・・・と今回ばかりは泣いてます。
「ふんだりけったりだ。」
と、わけのわかんないことをゆってます。
「そうそう、トン(トムソーヤ)に聞いたんだけど、
ホワイティ、今度ドラマの主役になるらしいな。」
「えー?」
初耳です。
姫は少しうれしそうです。
「でも、しばらくひとりぽっちにならないといけないみたいだよ。」
よっちゃんがそういうと、姫は急に悲しそうな顔をしました。
(ま、まさか、魔王の仕業か?)
勇者しんじは、となり町まで魔法の絨毯(トラック)に乗って出かけました。
「ドコイクアルカ?」
ガガガ・・・と機会音をだしながら行き先尋ねてきた。
「ちょっとそこまで。」
トラックの荷台(ナンバープレートのすぐ上)に座って、足をぶらぶらしていた。
すると急にトラックが発進(急発進)した。
体がGによって、ぐーんともといた場所に引っ張られる。
お、おちるーーー
一瞬にして体が荷台から消えて、まっさかさまになった。
お尻から落ち、手をつき、一回転(後転)。
転がるときに、さかさまに写る魔法の絨毯を見ると、
ニヤリと笑う運転手がいた。
ち、ここにもいやがったか、魔王の手下め。
ざわざわ・・・
カンカン
「静粛に!」
またーりとした雰囲気が一瞬にして水を打ったかのように静まり返った。
「これより、田中義男の法廷を開廷します。」
「よろしい。」
検察側は、ずいぶんと態度がでかい。
「同じく。」
負けじと偉ぶって見せた。
おれ、勇者・・・ごほん、弁護士しんじ。
今日は、俺の悪友、田中義男が殺人容疑を晴らすべく裁判所にいる、というわけ。
義男はというと・・・
「あそこの禿げ親父、ひかってるよ。。。。うおー、ここから出してクレー。」
裁判長に向かって、暴言を吐く始末。
「静粛に!」
そういうと、二人の悪魔が田中義男を黙らせた。
ヒヒヒ・・・
フォークのでっかいやつを持った悪魔二人が、後ろに舌なめずりをしてたっている。
む。よくみると、あの検事は・・・
「おい、よっちゃん2号。」
ぴくっと額が引きつった。
「ふんっ。こんなやつと一緒にしないでくれたまえ。」
サッと髪を整えると、遠くから恨めしそうに俺を見つめている。
うむむ。なかなか難しい裁判だな。