創世記

In the beginning God created the heaven and the earth

初めに神は天と地を造り給うた

「創世記」

そして、人類が地上に存在した。
しかし、誕生したのは人類だけではない。
demon<悪魔>神と人の中間の霊。deamon<ダイモーン>ともゆわれ、守護神でもある。
このお話は、demon<悪魔>の心をもつ人たちのお話を載せていきます。
それは、ときとして残酷であったり、その人を護ったり。
それでは、どうぞ。

目が覚めたとき、いつも汗だくで体が震えている。
今日もあの夢をみた。
あいつがこっちをむいて、にやりと笑っている。
あいつの胸に、俺がナイフを一突き。その瞬間、あいつの嫌らしい笑みがきえ、
口から血をはきだした。
忘れられない。。。
あの感触、肉の壁にナイフがすーっとはいる感覚、そこから飛び散る血が、
俺の顔にべっとりかかった。
ぬくもりが皮膚にこびりついてる。ふきとったはずなのに。
そして、俺はこの恐怖に耐えることができなくなった。
自首しよう。

先生、予定通りですね。モルモットが動き始めました。
あいつは使えますね。
シンプルそうで。

私は、2週間前に、私をゆすってきた男をナイフで刺し殺した。
しかし、そんなに悪い気分でもなかった。
ふと、気づいた。
俺はなにをやってるんだ。
ナイフをぬいて、その場をはなれた。
まだまだ捕まるわけにはいかない。
そこで、代理人提供、という店を探した。
噂にはきいていた。なんでも代理人をたててくれるらしかった。
そこにいけば、なんとかなるかもしれない。
「一人、一億です。」
受付の男がそういった。幸い、あいつを刺したとき、金庫から貴金属などをうばっておいた。
「おねがいします。」
俺は頼んだ。でも、怖い。
次の日の新聞には、俺以外の名前で事件は解決していた。

「ナイフは、彼の冷蔵庫の中に入れておきました。」
俺からきいたことをそのまま、代わりの人が犯行を認めてくれるなんて。
「簡単なことです。」
俺は、捕まらない。俺が犯した犯罪なのに。でも、なんだ、この感情は。
胸のところがイタイ。

驚いたことに、俺の代わりに捕まったやつが無罪になってた。
最後の最後で、逆転勝利?
よくよく考えてみると、殺人犯した罪をかわるなんて、おかしいと思ってた。
もしかしたら、死刑、でなければ無期懲役になるところだ。
本当に殺人を犯していないのに、死刑になってたまるか。
代理人は、罪を身代わりになるんじゃなくて、容疑者として出頭してくれるだけなのか。
だとすると、俺の立場はどうなるんだ?

「なぁ、俺はどうなるんだ?」
慌てて代理人を提供してくれた、会社に電話をいれた。
「あなたが捕まることはありません。」
「本当だな?」
「あなたのアリバイをちゃんと証言してくれる人も作っておきました。
あなたは気づかなかったかもしれませんが、もちろんあなたも捜査線上にうかんでました。
でも、私どもが用意した嘘のアリバイで、あなたは完全に容疑者からはずれたのです。」
「じゃ、代理人の提供というのは?」
「それは、アリバイを証言する代理人です。」
・・・
「私どもといたしましては、偽の容疑者をしたてることで、
捜査をかく乱し、あなたのところへ捜査の手がのびないようにすることです。
そのために、代理人を用意したのです。
でも、彼らを犯罪者として、捕まえられたままでは商売になりません。
裁判を逆転できる、きわどい場面までもちこんで、いっきに無罪にもちこむのです。
こうしておけば、あなたが捕まる確率は、ほとんどないでしょう。
また、もし捕まったとしても、ちゃんと保証がありますよ。」
「なんだ、その保証っていうのは?」
「裁判では、一度無罪の判決がでると、本当に犯人であっても、
もう警察はどうすることもできないんです。そこをつくのです。
あなたが捕まれば、あなたが犯人じゃない別の犯人。
つまり、最初に容疑者として捕まっていたものが、自分が犯人であると、
さらに決定的な証拠をみせつけるのです。しかし、彼は一度無罪になっているからつかまりはしない。
要するに、幾重にもほどこしているのです。
一度捕まって無罪になる方が安心できると思いますが、社会的な影響を考えますと、
やはり、一度も捕まらない方が得策ということです。」
「要するに、俺は捕まらないってことなんだな。」
「そのとおりです。」

人を殺したいと思ったことがありますか?
ものを盗みたいと思ったことは?
どうして思い通りに振る舞わないのでしょう。
怖いのですか?なにが?捕まることが?それとも良心が痛む?
もし、人を殺したり盗んだりすることが当たり前の世界なら、
あなたは、きっとなにも思わずにやりたいようにやれるでしょう。
私が悪魔の知恵を貸しましょう。
この世界で、あなたが好きなように振る舞えるように。。。

「妻がいけないんです。妻が。あいつが不倫さえしなければ・・・」
こういう相談を受けました。
私は、常日頃から人に悟られないような、いわゆる完全犯罪を研究してきました。
「あなたは、奥さんを殺したいのですか?」
「はい。だから先生にお願いにきたんです。」
彼には、一つの方法を教えてあげました。

こういう話を聞いてあなたはどう思いますか。
例えば川のそばに工事のため大きな穴があったとします。
そこに、目の不自由な老人が歩いてきたとします。
もし、穴の近くを通ったのなら、親切な人は、その老人に、
「川のそばにいくと危ないですよ」と声をかけるでしょう。
しかし、誰にもしられない、その老人と私の関係があったとします。
普段から私と老人は仲が悪く、老人は私のいうことを全くきかない、
というより、むしろあまのじゃくな行動をとるとします。
つまり、右といえば左といったように。
このとき、私が老人にたいして、このことをほかの人にもしられていなければ、
こういうことで、老人を工事の穴に落とすことが可能なのです。
「川のそばに近づくな」
さて、私が彼に教えた方法は、もっとも簡単な方法で、
しかも女性を限定として死に至らしめるという方法です。
それは、、、
どうやら、彼は成功したようです。
妻は心臓発作という突然死によってこの世をさりました。
もしあなたもこの方法を使う場合は、みんながこの方法に気づかないうちに限ります。
さもないと、あなたは後生を牢獄で過ごすことになるのですから。

「もしもし、谷山さんのいらっしゃいますか?」
会社に電話がかかってきたのは、あれから2年くらい後のことだ。
電話にでたとき、俺の背筋に冷たいものがはしった。
「佐木です。あなたの順番が回ってきました。」
その言葉で、俺は恐怖の淵にたたされた。
俺は、えらばれてしまった。

俺は代理店、SS(ソーシャル・ソリューション)株式会社というところで以前働いていた。
そこには、バイトのつもりで入っていたのだが、給料がよかったので、
そのまま社員に採用してもらった。
なんの不満もなかった。なにをするでもない。
ただ、電話の前に座っていて、かかってきたら、決められた接客をすればいいだけ。
ただそれだけだと思っていた。
しかし、俺はある噂を聞いて、その会社をやめることにした。
俺の勤めていた会社、代理店の本当の仕事は、犯罪者をかばう仕事だったからだ。
いや、そのことはあまり問題ない。
実際、捕まったりしたやつもいないし、そういうことがないのはわかってる。
そのぶん、給料も普通の会社よりもよかった。
問題なのは、社員が途中で消えているということだ。
俺がバイト当時、全部で10人だった。とても小さな会社。
よくこんなので会社が運営できるものだと思っていた。
ある時、仕事が全くない年があった。
「橋本くん、そろそろ、いってみるか?」
その翌日彼は消えていた。
その理由をきいたとき、俺は恐怖した。
ハシモトサンハヒトヲコロシタラシイヨ

これは、会社がしくんだことらしい。
いや、怖いのは入社する時に、このことがすでに承認されているということだ。
入社時、俺はある契約書を書かされた(先輩たちの間では赤紙とよばれていた)
それは、どんなものであるのかなんて、全く教えてもらえなかった。
しかし、年々人が入れ替わるので、ある先輩にきいてみた。
「みんな、退職したと思ってるだろ?違うんだよ。あいつら全員消されたんだよ。完全な犯罪者として。
たまに、この会社に顔を出す佐木さんは、その中でその仕事に誇りをもってるんだ。
あの人にだけは逆らうなよ。目に付くやつは、すぐにきにいるからな。自分と同じ経験をさせたがる・・・。
おまえも、佐木さんだけはきをつけろ。」
次の日、俺は佐木さんと目があった。
軽く俺の方をみて、にっこり笑ったように思えた。
頭が真っ白になった。
そして、俺は会社をやめた。
ああ、今更俺になんのようがあるんだ。

俺が何かしたのか?
どうして、もうやめたのに俺の番なんかまわってくるんだ。
「谷山くん、きみのことは森田くんからきいてますよ。
この前、谷山くんの話になりましてね。そのとき、彼がゆったそうじゃないですか。
会社にいると、新しい組織に参加させられるって。
でも、彼の説明があまりよろしくなかったようですね。
きみ、お金ほしくないですか?」
あ、森田さん、ひどいですよ。俺のことを佐木さんにいうなんて。。。
「この仕事は、1件につき1億、または5000万の2種類があります。
もちろん、1億の方はそれなりにリスクはありますが、大丈夫です。
こちらも、そろそろ人が少なくなりましてね。私と一緒にやりませんか?
なーに、簡単なことですよ。そう、リモコンでテレビを消すような。そんな感じです。」
俺は仕方なく佐木さんの話をうけた。
あの目でみられると、断ることができなかった。
あの、冷たくさめきった、無機質な佐木さんの眼。

「なにをすればいいんですか?」
佐木さんは、にこにこ笑っている。俺は気に入られたようだ。
「なーに、簡単なことですよ。」
楽しそうだな。そんなに悪いとこでもないような気がするが。
「ほら、いつもきみがしていた仕事。まず、あそこからこちらに電話が回されるのはきみもしってるね?
そこからがぼくたちの仕事ですよ。それまで、自由にしていてください。」
そんなことをいわれてもなぁ。
佐木さんの眼はなんだかキャッツアイのような光を俺の脳裏に植え付けた。

「さて、谷山くん、お仕事ですよ。」
おれは、どんな仕事かとびくびくしていた。
「はい、今回は1億円のお仕事です♪さっそくきみにやってもらいましょうかね。」
仕事内容は・・・殺人

俺はこれまで10件の仕事をこなしてきた。
この仕事にもずいぶんなれてきたな。
俺も佐木さんのような、無機質な眼ができるようになった。
「どうですか?完全犯罪に近いと思いませんか?」
俺は軽くうなずいた。
「見知らぬ二人に接点はない。そこで、知らない人がいきなり自分を殺しにくる。
殺されたほうは、なにがなんだかわからない。警察も、まさか見ず知らずの人が、
殺人を目的として、痕跡をのこさなければ、逮捕されるわけがない。
つまり、交換殺人を応用した、代理殺人ってとこですね。」
最近、俺、佐木さんににてきたな。
佐木さんの顔をみると、いや、彼がどうして俺ににっこり微笑んだのかわかった。
俺の中に、佐木さんと同じものがみえたのだろう。
そう、俺の中に存在する悪魔が。
消えていった人たちはいったいどうなったって?
それは、佐木さんにきかないとわからない。
でもこれだけは、わかる。俺は消えることはない。
俺の中で、悪魔が肥大していく・・・

しにたい
いつしか僕はそう思うようになりました。

この年になって、会社は倒産、妻にもにげられました。
子供は僕のことをみるたびに、汚いものでも扱うかのような対応をします。
「おやじー、なに俺より先に風呂にはいってんだよ。おまえ、一番最後だろ?」
こんな僕は家で肩身の狭い思いをしています。
そんなこんなで、最近外にでることの方が多かったのです。
(家にいると、妻や子供に文句をいわれるから)
外にいると、僕は少し幸せな気持ちになりました。
ほかの人から見る僕は、家にいる僕とは違っているからです。
一番怖かったのは、会社が倒産したことを、妻にいう時です。
2ヶ月ほど、僕は会社にいっているフリをしていました。
いきなりつぶれたなんていったら、殺されそうでした。
2ヶ月間は、密かにためておいた、貯金を切り崩して、給料の額だけ振り込んでおきました。
こうしておけば、妻には気づかれません。
でも、とうとう貯金がなくなりました。
こうなったら、家を出ようかと思います。

僕は、大学時代山岳部にはいっていたので、久しぶりに山を登ってみたいなと思いました。
どうせ会社はつぶれてないのです。しばらく出張だということにしておきました。
久しぶりの山。緑の自然は、僕の心をきれいにしてくれます。
奥の方まで入っていきました。
迷ってしまいました。
ここは樹海でした。

日が沈んで、どちらにいっていいかわからなくなりました。
さすがに寒くなってきました。僕はたばこをすわないのでライターをもっていません。
あ、そういえばこのまえ友人のおごりでノミにいったことがあったな。
キャッツアイ。結構しゃれた感じの飲み屋です。
記念にマッチを拝借したのを思い出しました。
シュっとまっちをつけると、ほんのり明るくなりました。
後ろに大きな木があったので、荷物をおいておきました。
一瞬、何かパキッていう音が聞こえましたが、僕はきにしません。
おなかがすいてきたので、用意しておいたあんパンをたべました。
星空の下で食べるあんパンは最高です。
と、思いたかったのですが、空はまっくらで星もみえず、冷たい風だけが吹いています。
考えてみれば、もう11月です。
僕は、なにをしているのでしょう。

おなかがみたされました。そしたら眠くなります。
妙に家族が恋しくなりました。
こんな僕でも、やっぱり家族は大事なんです。
あんなわがままな妻や、暴力息子。それに、自分の娘かどうかもう判別できないほど、
顔を真っ黒にしてる娘。
こんな家族でも、やっぱり家族なんだな、そう思いました。
本当は、彼女たちを殺してやろうと思っていました。

「ごはん?そんなものあるわけないでしょ。」
「おい、おやじ。かねだせ。遊びにいく。早くしろよ。」
「あら?知らない人がいる。まみもおとーさんがほしいな。」
なんてふざけたことを毎日きかされてると、だんだん頭がいたくなりました。
あの日、ぼくは自分の家を燃やそうと思ったのです。
やめたほうがいいな
ぼくに刃物で人を殺す勇気なんてありません。
テレビで殺人シーンをみるだけで、眼を覆いたくなります。
でも、あの日だけは、それができるような気がしました。
「あ、ごっめーん。さっき捜し物してたらおとしちゃった。
でも、いいでしょ?また作ればいいぢゃん。」
僕が、密かにがんばってがんばって作った、幻の10万ピースのパズルを・・・
しばらくすると、ぼくは包丁をてにしていました。
家の中をうろちょろしてたのを覚えています。
気がつくと、やっぱり僕はひとりぼっちでした。
あやうくひとをあやめちゃうところでした。
やめよう。

さて、どうやってこの森をぬけだそう。
この森にきて、いやなことがぜんぶ体の中から抜け出た気がします。
夜明けとともに、だんだん薄明るくなってきました。
よいしょっと。
ぼくは腰をあげると、一日お世話になった大木にありがとうとお辞儀しておきました。
そのとき、僕の座っていたところ、荷物をおいてたところに、白骨化した死体がありました。
右足のところが折れていました。ぼくのせいです。
ぼくは、森の中を走り回りました。車の音がしたので、そちらの方へ走りました。
やっと国道にでたので、ぼくは安心しました。
そういえば、僕はいつのまにか眠りについていました。
ああ、どのくらい眠っていたのだろう。

ぼくは、本当は嘘をついていました。
妻や、子供たちをおいて山登りをしたといいましたが、
彼女たちはもうすでにこの世にはいないのです。
死ぬことができなかったぼくは、どうしたらいいのでしょう。
しかし家にかえると、何事もなかったかのように家族がいました。
どうやら、僕は殺したと思いこんで家を飛び出していたようです。
でも、もしあのときやめてなかったら、ぼくの記憶が現実のものだったのかもしれません。
あのとき聞こえた声は、悪魔の囁きだったのでしょうか。

「先生、私、夫を殺してしまいました。どうしましょう。」
山本夫人にそうゆわれたのが、1時間前。
「そうですね、11時頃、病院に連れてきてください。
今日は、私一人なのでなんとかできますよ。」

山本と俺と美佐子(山本夫人)は、大学のサークルで一緒だった。
あのとき、美佐子は俺と結婚する予定だった。
しかし、俺がドイツへ留学してる間に、二人は結婚してたんだ。
ホントは、俺を裏切った美佐子なんて、どうでもよかった。
助けてやる義理はないんだ。
しかし、、、俺はまだ美佐子に惚れていた。

「ちゃんと、私がいったとおり、人に見られないように連れてきましたか?」
彼女は、顔を青くして、唇をかみしめていた。
「はい。」
そういうと、そばのソファーに倒れかかった。
「今から、診察します。」
俺は、山本を診察室に連れて検査を始めた。
といっても、もう山本は死んでいるが。
「これを。」
そういって、俺は美佐子に死亡診断書を手渡した。
「山本は、診断したのち治療中に死亡したということにしておきました。
診断した後、治療中に死亡した場合は、在宅で突然死した場合と違って、
届けでの義務はないのです。
この診断書一枚で、死亡届が受理されます。
つまり、この死亡診断書さえあれば、捕まることはありません。」
しかし、美佐子の目はまだ曇っていた。
「これをもって、火葬場にいってください。」

あれから、俺たちは一緒に生活している。
たまに、俺のことを冷たい目でみる美佐子。
彼女をくるしめているのは、もしかして俺の存在なのかもしれない。

新しい世界を作ろうと思いました。

詐欺って、怖いですね。ネズミ講ですか?あんなのにひっかかるわけが・・・
でも、本当にひっかかってしまうものなんですね。
欲を出すと、そこに付け入るすきを与えているのでしょう。
最近インターネットを始めました。
ITって、世の中騒いでるから、どんなものかと思って挑戦です。
いっとって、ゆわれても、なんのことかわからないです。
で、とりあえずメールでもしてみようと思いました。
あ、友達がいない。
少し、憂鬱になりました。
泣きそうになりながら、いろんなホームページをかちかちつっついてると、
「めるとも募集」というページがありました。
なんだか、ぱっと周りが明るくなった気がします。
さっそく、そのページに登録しました。

[1253] 橋本幸夫  さん 登録日:2000/11/06 02:57
住所:神奈川
年齢:21
趣味:音楽鑑賞、アニメ
血液:A型
星座:山羊座(12月22日~1月20日)
PR:こんにちは。僕は、21歳の大学生です。
最近パソコンを手に入れて、メールをはじめたんですけど、メル友が少ないんです・・・。
まだ慣れてないけど、がんばって返事書きますんで、メールください。

これで友達できるかな?

わくわくしていました。いっぱいメール友達ができるといいな。
そして、次の日に、例のメールが届いていました。
お金儲けができる!
ここにかかれた5人の人の住所に封筒に100円いれて送りましょう。
そして、ここに乗っているリストの一番上に乗っている名前を消して、
一番下に自分の名前を追加しましょう。これをいろんな人に送れば、
100万円も夢じゃない!
僕は、馬鹿でした。500円で100万円が手に入るなら安いや。
よくよく考えると、これがネズミ講だったのですね。
めーる友達、ほしい・・・

何日かすると、僕の住所に100円だまが入った封筒が50通ほど届きました。
なんだか、胸がどきどきしています。こんなことがあるなんて。
僕は少しずつインターネットの人口の多さに驚きました。
この世界にはまりそうです。

相変わらず友達ができません。
あれからだいぶこの世界のことに詳しくなりました。
本屋さんで、PC関係の本って探してみるといっぱいありました。
そこに、HPを作る本<html言語>どうのこうのってのがありました。
さっそく手にとってみると、なんだか僕の嫌いな英語がいっぱいのってます。
気分が悪くなって元に戻そうと思ったとき、ぱっと頭の中にひらめきました。
これで友達を作ろう。
はじめはそれが目的だったんです。
でも、時間がたつと、どうしてこんなことになったんだろう。
僕じゃない僕がこんなページを作っていました。

創世記

自分で自分がよくわかりません。
なんだか、この世界を犯しているような気がします。

僕は、1年前あたりから、少しずつ閉鎖的な性格になっていきました。
昔のぼくは、友達がいっぱい(いたはずなんだけどな)で、
結構頼りにされていました。でも、あのときあたりから僕はおかしくなっていったんです。
バイト先の主任に、「きみ、そろそろいってみるか?」ってゆわれてからだな。
僕は、高校の時からそこでバイトしてたんだけど、あの日いらいあそこにはいられなくなったんだ。
なんでだろう。僕はそんなつもりはまったくなかったんだ。
気がついたら、シャツが真っ赤にそまっていた。
すぐにそれがなんのことかわからなかった。
目の前に、人が倒れているのがわかった。
しばらくして、僕はその人に声をかけてみた。
「どうしたんですか?」
それでも返事がない。近づいてゆさぶってみると、顔がくるりとこちらをむいた。
ひっ
息が止まりそうになった。胸が締め付けられていくのがわかった。
あの顔、いままで観てきたどんなホラー映画よりも怖かった。
血の気が引いていく感じが、はっきりわかった。
背中のところが、びっしょりぬれている。
すごい形相の顔がこちらをむいていた。
白目をむいて・・・

しばらくそこを動くことができなかった。
目がそこから離れようとしない。ずっと観られているような気がした。
そんなはずはなかったんだけど。
しばらくすると、後ろから物音がした。
「なかなかうまくやってくれたじゃないですか。」
橋本くん
その言葉には、周りの温度を1度下げるような空気の持ち主だとすぐにわかった。
主任だ。
「きみがいやがるから、薬を使わせてもらったよ。ほら、世の中にはいろんな薬があってね。
知ってることを簡単にしゃべらせる自白剤なんてのもあるし、人を性獣と化す薬もあるんだ。
きみには、凶暴になり、見境がつかなくなる殺人マシーンになってもらう薬を使っておいた。
だめだよ、最後の最後でふるえて僕の前から逃げ出そうとするなんて。
もう僕のプランは進んでいるんだから。
これで、きみも仲間入りだね♪」
夢ならさめてほしい。そう思ったものです。

それから、半年間、ぼくはどこかの病院にいました。
どこかっていうのも、よく覚えてないんです。
さっそく次の依頼を用意していたんです。
すごくひどい人です。
あそこにいたら、また薬を使われると思いました。
わけわかんなくなって、海にとびこみました。
どこかの船に発見されて、病院につれていってもらっていたらしいです。
記憶喪失だったんです。
看護婦さんにやさしくされると、なんだかふるえてきました。
もしかしたら、女性が怖いのかもしれません。
僕は病院をこっそり抜け出しました。
ふらふら何日も歩いていました。ここはどこだろう?
無意識に実家へとかえっていました。
親が僕をみつけたとき、少し悲鳴をあげたのを覚えています。
2、3日ゆっくりしていたんですが、ここ数ヶ月の記憶がないことに気がつきました。
親は僕のことを心配して、「しばらくうちでゆっくりしていなさい。」といってくれました。
なかなか居心地いいです。

毎日毎日ぼーっと過ごしていました。
テレビや新聞をちょこちょこ読んでいます。
あるニュース番組で、IT革命についてふれていました。
数ヶ月して、ふとそのこと思いだしたんです。
「ねぇ、僕、パソコンがほしい。」
親は少し変な顔をしましたが、すぐに買ってきてくれました。
店員に勧められたそうで、紫色のバイオちゃんです。
さっそくかちゃかちゃしてました。
でも、これ、どうやってインターネットすればいいのだろう?
「まだ、できないのよ。」お母さんの方が、僕よりだんぜん詳しいです。
ちょっとくやしいな。

なにげにインターネットができるようになりました。
さて、これからです。
さっそく僕は大きな壁にぶちあたりました。
何したらいいんだろう?
そういえば、ITってゆっても、なんにもほしい情報なんかありません。
仕方ないので、しばらく放置していました。
そして、、、
とうとう僕はホームページを作るまでにいたったんです。
そうです。もうわかってくれたと思います。
創世記
そこに書いてあったことは、すべて事実。
僕が実際に行った殺人について。
失った記憶を取り戻しました。

人が死んだら、笑っていられますか?
きっと、なにも思わないでしょうね。自分に関係がないと。
そう、そんなものなんですよ。
新聞で、殺人事件の記事がのっていたって、結局は自分には関係のないこと。
俺にも関係ないこと。
身内には関係ある。とてもつらいこと。
一つの死について、みんなが身内が死んだ時のように振る舞うべきなのでしょうか。
死者を冒涜することは、許されないのでしょうか。
俺は、死んだらどうなるんだろう。
今、この世界になにをのぞんでいるんだろう。
この時代にいきていたという証がほしい。
もうすぐ、俺、いなくなります。
だれか、俺がいた証をください。
俺の証。

自分で自分を殺すってこと、それって他人を殺すことよりも重い罪。
他人って?
ねぇ、教えてよ。
いつから俺は死にたいって思ったんだろう。
あ、きっとなにもかも無意味に思い出したからだ。
この時代、この世界。
なにを目的にいきていたのかわかんなくなったんだ。
最初から目的なんてものはなかったのかもしれない。
中学のとき、病院に運ばれた。あと半年の命ときいたあの日から。

おい、ゆーじきいてんのか?
誰かが俺に話しかけてます。でも無視です。そんなの聞く必要ありません。
こんな耳なんかなければ、あんなショックをうけなくてすんだんです。
知らなければよかったのに。あんなこと聞かなければ残りの日をおびえずにすんだのに。
おい!
気がつくと、俺の前にいーちゃんがいました。
隣のにーちゃんです。俺が小五くらいの時に隣に引っ越してきて、よく悪さしてました。
隣の学校とかにもよく喧嘩うってました。小学生にして、金髪にしてたなぁ。
いまでは金髪なんて、あんまり目立たないですけど、あのときはすごかった。
親に、関わっちゃだめよ、とよく注意されました。
片親だそうです。でも、たまに知らないおじさんが出入りしてるのみました。
がつん
いってぇー。「なんだよー。おれになんかようがあんのかぁ?」
はじめていーちゃんに喧嘩腰にはなしてます。
いーちゃんは、喧嘩にとても強くて、周りの子からすごくおそれられてました。
そりゃそうだ。容赦なく相手を叩きのめす小学生。
身長は170近くもあって。巨人っすね。かてるわけねー。
でも、妹のまみちゃんとはナカヨクしてもらってます。
それで、時々おじゃましました。
いーちゃんは、俺なんかあうとおぶがんちゅーといったようで、
一度も話しかけられたことありませんでした。

ある日、まみちゃんが変なやつらに囲まれていました。
俺、そんな気はなかったんです。
自転車にのってて、よそ見してたら、その集団につっこんでいってしまいました。
気づいたときには、一人はねとばしていました。
坂道を下るスピード、侮れません。
車は急には止まれない、ぢゃない自転車も急には止まれない。
きゅきゅ・・っていってブレーキかけたんですけど意味なかったです。
坂道恐るべし。
ちょっと、俺、まわりの連中に囲まれてしまった。
怖いよぉ。
まみちゃんも心配そうにこっちをみてました。
でも、大丈夫です。俺、はるきにーちゃんとよくバトルをしていました。
このくらいのやつらなら・・・
イテ。やっぱりだめです。あれ、そういえばはるきにーちゃん?
「おまえらなにやってんだ?」
俺の後ろににーちゃん乗ってるの忘れてました。
ぼこぼこにやっつけちゃってくれてます。
「だめだな、ゆーじ、こんなやつら左手で一発だ。おまえもまた鍛え直さないとな。」
けっこうです。

次の日、まみちゃんちにいったら、いーちゃんが初めて俺に話しかけてきました。
「昨日は悪かったな。」
そのあと、踵を返してどこかへいってしまいました。
まみちゃんも、珍しいといった感じで俺のほうみてたなぁ。
あれからだな、いーちゃんと話すようになったのは。
「育生、ゆーじくんがきてるよ。」
部屋の中からだるそうにいーちゃんがでてきました。
今日はこっそりパチンコにいく予定なんです。
いーちゃんはよくいってるらしいんですけど、俺いったことないし。
だから、連れてっていってみたんです。
でもよく考えると、いーちゃんどうみても中学生にはみえないなぁ。
だっておっさんなんだもん。俺なんか、中学になってもまだ身長が150くらい。
ああ、このまま大きくなれないのかなぁ?

中3の冬、とうとう俺は倒れてしまった。
授業中、気分が悪くなって教室を出ようとした瞬間。
意識がなくなって、目の前が真っ白になった。気がついたら病院のベッドに寝かされていた。
お医者様は、前の日に頭にものが当たったのが原因だろうって。
あ、そうそう、俺昨日道歩いてると、ビルの上のほうからものがふってきて、
それにあたったんだよね。一瞬クラってきたんだけど。
だれだよ、上をみたときにはガキが顔だして、やべーっゆってたけど、
俺もふらふらしてて、何階のガキかわかんなかったからなぁ。
ひでーことしやがる。
とりあえずうちにかえることになった。
昼間病院でゆっくり寝てたせいか、夜中目が覚めた。
トイレにいこーかと思って、下におりて行く途中ひそひそ話し声が聞こえてきた。
「・・・ねぇ、あと半年だって。あの子にはいったほうがいいかしら」
「いわないほうがいいだろう、知らせないほうがいい。その方がショックがすくないだろ。」
なにゆってんのかなぁ?
「あと、半年しかあの子と一緒にいられないね。うう。」
おかんが泣いてる。
「あと半年、なんでもいうことを聞いてあげよう。残り少ない命なんだから。」
俺は、なんか気分が悪くなってきた。
なんだ、これは。なんだ、このいやな汗は。とりあえず二階に戻った。
布団にはいった。ぶるぶるふるえてる。
俺か?俺なのか?俺のことなのかぁ?

冬が終わり、やがて春がきて、俺は高校生になった。
あのころから、俺は少しずつ暗くなってきた。まみちゃんともあまり遊ばなくなった。
この前遊びにいったら、まみちゃんすごい顔になってた。
「どうしたの?」そういうと、まみちゃんは今はこれがはやりなのよといって、
にーってしてた。こわい。
「あ、そうそういーちゃんいる?」
今日はいーちゃんに呼ばれてた。最近俺が元気ないからかなぁ。
「ゆーじ最近なにしけたつらしてんだよ。ほらおまえの欲しがってたアイテム、
ゲットしておいたぞ。」
そうやっていーちゃんは俺にかっこいいキャップをくれた。
「これで、おまえが好きなスケーター系の服装の完成だな。
毎月の小遣いこつこつためてたんだろ?バイトできない学校はつまんないだろー?」
なんだか、ちょっと優しくされるのが無性に怖くなりました。
「俺帰るね。」
うちにもどって、みたくもないカレンダーをみました。
数字には、一つ一つ×印がついています。
そして、20日のところに、赤でぐちゃぐちゃに塗りつぶしています。
今日は17日。もう、あと3日か・・・

一日、一日がこんなに重く感じたことはありませんでした。
24時間、時計ばかりみてます。
部屋から一歩もでなくなりました。親が心配してます。
それでもなにもしたい気持ちにはなりませんでした。
手首でもきるかな。なんて思い、引き出しのなかからナイフを取り出しました。
フフフ・・
ちょっと指をナイフに近づけると、しゅーっと線ができ血が流れ出てきました。
しばらくそれを繰り返し眺めてました。
「おい、ゆーじ。いるか?」
俺は無視です。
でも、いーちゃんには無視が通用しませんでした。
いきなり扉を蹴り倒して中にはいってきました。
「ゆーじ・・・」
いーちゃんがみた俺の姿って、結構滑稽だったかもしれないな。
部屋にはいってくるなり、殴られちゃった。
「なにしてるんだ?」
そのあとしばらくいーちゃんが何かゆってました。
自殺は他人を殺すことより罪が重いとか、なんとか。
他人ってだれよ?
気分は、もういつでも死ねるって感じです。初めてです。
死がこんなにも怖くないことだと感じるなんて。
暗闇を歩くことがどんなに怖いことでも、死には比べようがありません。
死が一番怖いものだと思っていたからです。
今なら、暗闇を歩くことなんて簡単です。
もっかい殴られました。
「なんだよ、うっせーな。」
そのあと、いーちゃんは最近お父さんがしたいで発見されたことをゆってました。
そこに、子供たちに遺書を残していたそうです。
俺は、他人を殺すことができなかった。でも、自分のことなら殺せる。
そんなことも書いてあったらしい。
遺書の中には、お父さんの夢もかかれていたそうです。
もう一度一緒におまえたちとくらしたかった、と。
そうして、いーちゃんはこういいました。
「おまえ、死ぬくらいなら、俺に手伝えよ。」
後一日か。
最後になにができるってわけでもないけど、うんといっておきました。
「それじゃ、今からここに電話をしてくれ。」
これから長い一日が始まりそうです。

俺、死ぬのがすごく怖くなった。
生きていたい。生きたい。
なんで、俺が死ななくちゃいけないの?
ねぇ。

冷たい雨に打たれてながら、途方にくれました。
どこだろう、ここは。
誰もいない場所に行こう
そう思って、ふらふらと歩いていきました。
もう、雨が冷たいだなんて感覚もわからなくなってきました。
どれだけ時間がたったのかもわかりません。
もう、俺は生きてる感覚すら味わえないんだな。
そう思うと、ふっと体から力が抜けてしまいました。
ゆっくりと体が倒れるのがわかりました。
上から自分の姿をみているようです。
スローモーションで、地面が近づいてきました。
きえる。何もかもきえる。
目の前が真っ白になりました。

はぁ、はぁ。。。
「ねぇ、大丈夫?」
優美が汗を拭ってくれました。
「ああ、大丈夫、ちょっとね・・・」
大事な時間なのに、眠りについてしまった。
もう、夕方か。
「じゃ、そろそろ俺いかなきゃ。今日はありがとう。」
恐怖に駆られると、人間弱くなるんだな。
たまたま中学ん時の同級生にあっちまった。
久しぶり、なんてにこやかにすごせなかった。
俺は、急に一人でいるのが怖くなった。誰でもいい。誰かと一緒にいたい。
優美の家につくと、いきなり押し倒した。
彼女は俺の全てを受け入れてくれた。
ばかなことをしたな。
だんだん、死の恐怖が肥大化していった。
その圧力で、胃がぎゅぅっとねじれているのがよくわかる。
痛い。生きたい。
俺の証、まだない。

とある病院についた。
「あの、さっき電話したんですけど。」
受付の人は、一階のつきあたりにある部屋で待つようにってゆった。
しばらくまつと、初老の男性が入ってきた。
「君かな?私に用事があるというのは。」
俺は、かるくうなずいた。
「若いのに、もうあの世界にはいりたいのか。
あれは、麻薬だぞ。これから先の命はいらないのか?」
俺は、一度深呼吸をして、深くうなずいた。
もうこんなことでは、動じたりはしない。
この作戦が失敗しても、どっちにしろ俺はもう長くないんだ。
「そうか、今日は客が多いからな。いろんな先生方も参加しているんだ。
運がよければ、きみはこれから一生を保証されたようなものだな。」
前置きはいいからはやくしろよ

目隠しされて、車にのせられた。
今からいくところは、秘密の場所らしい。
でも、こういうのって、意外と基の場所にたどりつくんだよな。
なんかのドラマでもそうだった。
右いって、左いって・・・って考えてたら、横から話しかけてきた。
「きみ、自分の体担保にしてお金がほしいって、そんなに困ってるようにはみえないけど。
何をしたんだい?」
俺は何も答えなかった。
「ふふ、まあいい。きみも敗者にならないようにな。」
なるほど、こいつら意味のない会話をして、集中できないようにしてるんだな。
さすが、常にあぶない橋をわたってきてるだけはある。
さて、そろそろかな。
何カ所かで、人が乗ってきているのがわかった。
みんな、どこへ連れて行かれるのかわからないんだな。
「あの場所は、常連の遊び場だからね。だれにも散らかしてほしくないのさ。」

金持ち集団ってのは、テレビとかに出てくるやつらみたいにイヤな感じ。
と思っていたら、意外と普通だった。
服装も、なんとなくびしっとした姿かと思ってたら、カジュアルな感じ。
理由なんて、後になるまでわからなかったけど・・・
「さて、今日はお客さんが多いようですけど。まずは軽くお食事でも。
今日は、松本シェフが担当です。」
一瞬まわりで、「おお」ってざわついた。
そんなにすごいのかなぁ?
前に出された料理。なんとなくフランス料理っぽい。
俺の嫌いな鴨肉だ。
と思ったけど結構うまい。いや、結構どころじゃない。かなりうまいぞ。
「それでは、最後に例の料理をお出しします。」
少し固めの肉に、赤いワインがそえられてきた。
なんだ、いままでの料理がだいなしだな。
そう思っていたのは、俺だけらしい。まわりの先生方はとても目を輝かせている。
「これが!!」
美味じゃ美味じゃといいながら、涎をたらしながらむしゃぶりついてました。
ワインもなんだかへんな味。
「どうでしたか?や・・ぎの肉は。血の味もなかなかです。」
俺、戻しちゃいました。

ペルソナの夜
タイトルはそんな感じだったと思います。
なんのことはない。ただのカードゲームです。
一枚ずつ、数字のほかに絵が描かれていました。
俺と一緒のテーブルには、ほかに3人の人がいました。
これ、単なるポーカーじゃん?
マスターって呼ばれた人が、説明を始めました。
「では、ルールを説明します。このゲームは、ただの数遊び。
5枚配るので、ポーカーの要領でゲームをスタートします。
それが第一段階。第二段階。そこからそろったカードの絵柄をみます。
一番強い役を作ったひとには、そこに描かれた絵のものを、一番弱い手札の人から奪うことができます。
ただし、ポーカーの役ではぶたであっても、絵柄が全部そろっていれば、
その人は好きな人からその絵柄のものを手に入れることができます。
それでは、みさなん用意はいいですか?」
なんか、ちょっとどきどきしてきたぞ。

まず最初。俺の手札はフォーカード。まじかよ。かなりびっくり。
これ、絶対かったな。
「勝負」
ツーペアー、ぶた、スリーカード。
よし、俺の勝ち。
「きみ、なかなか強いですね。」
隣のきれいな女性の人が話しかけてきた。
「その調子でがんばってくださいね。」
なんだ、変な人だなぁ。初めてあったのに。
さて、なにがもらえるのかなぁ?
「おお、最初から絵柄が2つもそろっますね。
これは、お金と目玉商品です。」
はい?
隣の人がいきなり自分の顔にペンを突き刺しました。
「いやぁ、まいっちゃったな。いきなり目玉とられるなんて。」
いらねぇ

だいたいゲームの内容がわかってきました。
<○>、<U>、<|>、<?>、という4種類の記号。
最初から、お金、血、目玉、?、らしいです。
?っていうのは、絵柄がほかのものに比べて少ないのでまだわかりません。
このゲーム、となりの人にきいたんですけど、体を資本としてなりたっているらしい。
体の一部をお金にすることもできるらしい。要するにお金を奪い合うゲーム。
でも、お金ではどうすることもできない領域。
生命というものが、もともとの資本。
なので、お金がいくらあっても、カードには逆らえない。
逃げるものは・・・
ガタン
「おい、今日もやっとおひとりさん。」
一斉に音のしたほうに振り向きました。
一人の男性が、外に向かって逃げ出しました。
みんな楽しそうな笑みを浮かべてます。
思い思いの武器をとり、狩りが始まりました。
にげるもの、おうもの。
ここから逃げ出せた人は、今までで2人だけらしい。
一人の人が、ボーガンでしとめました。
にししっとわらってます。
「これ、いただきー。」
みんな、がっかりしてます。
なんか、ホームランボールを取りそこなったかのようです。
ちゅっキスをして、顔から・・・
これ以上は、思い出すだけではきそうになるのでヤメです。
このゲーム、奥が深い。

あれから、誰一人逃げようとしません。
ていうか、常連はそんなことまずありえない。
たまに、わざとガタンと音をたてる常連がいます。
みんなに嫌われてます。でも、にししっと笑みをうかべてます。きもちわりー。
勝負
っていっても、さっきから全然絵柄がそろいません。
なんか、一番強い人の絵柄がそろわないと、普通にポーカーしてるのと同じです。
今俺が得たもの、お金、目玉2こ、血です。
あの女性の人は、目玉を血につけたあと口のなかでコロコロころがして遊んでます。
「これ、質がわるいですね。」
はははと笑っておきました。
意外にも、俺はなにも傷ついたりしてません。
おかしなものです。死んでもいいとおもっていたのに。
案外、死ねる勇気があれば、勝負にはまけないかもしれませんね。
「おおっ」
あるグループから大きな声があがりました。
遠目からみてみると、?がそろってます。
あれは、なにをやりとりするんでしょう。
一番弱いカードの人が、吐きました。
「かわいそうに、あの人の運もここまでですね。」
みんなにやにやしてます。
一番弱いカードを引いた人は、あの人は、なにかボソボソゆったあと、
「うっ」といいました。それから動きません。
舌をくいちぎって、窒息死してました。
ホントの「命かける?」ゲームのようです。
俺、命かけたく・・ない。

きみ、なんでこのゲームはじめたの?
あんまりお金に興味なさそうだけど
ここにきてる人たちと一緒なのかな?
みんな、お金なんていっても、結局はそんなものには支配されてない
お金で満たされない人たちのあつまり
唯一、生きていることを実感できるゲーム
生命のやりとり
でも、それさえもみたされない人もいる
自分の命のやりとりさえも冷静に判断できる人
その人どうしたかって?
たまにここにきてるよ
そういえば、今日みたきがする
あ、いたいた、あそこの白髪のこ
「水無月くん」

彼女の目は、とても透き通っていた。
なんていうかな、雰囲気がね、子供のようで、大人のようで、
なんともいえないね。
なんか、吸い寄せられるように、彼女のところへいった。
あまり、俺には興味がないらしく、しばらく俺がかってにそばにいただけだけど。
「きみ、ぼくになにかようかい?」
一瞬、空気が冷たくなったようだ。
なにか、いいたいことがあったけど、なにも思い浮かばなくなった。
「きみ、死にそうな顔してるね。死相がでてるよ。」
胸が、どきどきし始めた。
この異様な雰囲気の中で、すっかり忘れてた。
俺、もうすぐ死ぬんだ。
「きみ、生きようって気、ないでしょ。うしろに死に神しょってるよ。」
背後に重いもの感じた。
「ね、きみさここよくくるんでしょ?なにしにきてるの?」
彼女は、不思議そうな顔をした。
「ぼくには、なにもないからね。」
なんだか意味不明。

「俺、もうすぐ死ぬんだよ。」
彼女は、すぐに言葉を返した。
「そりゃ死ぬでしょ。」
ガーン・・・なんて思ってる場合じゃない。むっとしたけど、ぐっと耐えてみた。
そういえば、彼女そばには、なにもない。
なにって?ゲームで勝つともらえる、商品とか。
「そういうのは、いらないの。ぼくのじゃないからね。」
じゃ、なにしにきてんの?
「運命だからね。」

死ぬのとか、そんなのはもうすでに決まってる。
いつ死ぬかでしょ。ぼくにはね、あのとき悪魔と契約したから。
そう、家族がぼくの同級生に殺された時から。
ぼくはね、あのときに悪魔をみたよ。
最後に、ぼくをおそいにきたの。そのときにね、ぼくは未来がみえた。
首を絞められているとき、ぼくはもうあきらめてた。
ふっとね、あの世ってやつかな。きれいなお花畑がみえた。
今までにみたことがないほどのね。
そこに、一本の橋がかけられてた。
わたろうとしたら、うしろからぎゅっと肩をつかまれて・・・
振り向いたら、小さな子供がいた。
角が一本はえてて、背中に羽がはえてた。
「おねーちゃん、いっちゃだめだよ。」
そのとき、気がついた。
目が覚めると、ぼくだけ助かってた。
ぼく一人。
あまりにショックなことがあったんだな、髪の毛が真っ白になってた。
医者には、しばらくしたら直るよってゆわれたんだけどね。
今でも、このままなのさ。
ぼくの未来?もうすぐわかるよ。あのとき、その子と約束した。
ぼくが、この手で犯人を殺すまで、死なせないでってね。
その代わり、犯人が死ぬとぼくもしんじゃうけど。

なんだか彼女が笑ったような気がしました。
「あは、あははは。」
どうしたのかなぁ。
「今日だよ、今日。そうそうこんな感じだった。あのときみたぼくの未来。
あのときみえたの、きっときみだよ。ということは、もうすぐだな。
あいつがここにくるのも。長かったなぁ。ここに通い初めて2年。」
何度も夢でみた。1日中夢をみてる日もあった
何日も何日も同じ夢を
でも、この場所をみつけるのは一苦労だった
毎日夢の内容をノートに書き込んでいた。どんな些細なことも
内装、テーブル、人、一人ひとりの個性まで、夢にでてくることならなんでも
それしかぼくのすることはなかったから
あの時計、日本には数台しかない骨董品らしくてね
全部を調べたら、みつけたよ。ここ
長かったな、長かった
でも、とうとうこの日がきた
「ほら、あの時計が11度音を鳴らしたとき、そのときあいつが現れる。」

ぼーん、ぼーん、ぼーん・・・
11度音を鳴らした。
あたりは関係なく、ざわついている。
扉付近に、一人の男性が現れた。
右目が緑の色の男。
彼は、つかつかと俺がいたテーブルに歩みよると、いきなりあのきれいな女性に銃口を向けた。
「探したよ。」
女性は、ふふふと笑っている。
「久しぶりですね。まだぼくのことを覚えてたんですか?」
男は、少しふるえていた。
「教えてあげたでしょ。人を殺す時は、自分も死ぬ気でいなさいって。
あなた、ぼくがゆったこと、ちゃんと覚えてないみたいですねぇ。」
俺がみても十分わかるほど、彼はふるえていた。
「どうしたんですか、その右目。せっかくぼくがいい男にしてあげたのに。
それとも、きみはぼくにまたくりぬいてほしいのかなぁ♪」
うるさい
「きみも、あのままあの仕事をやってたら、谷山くんみたいに強い男になれたのにねぇ。
ま、きみにはそんな勇気もなかったんでしょうけど。」
だまれだまれだまれ
「早くしましょうね。ぼくも忙しいんだから。じゃないと、ぼくがきみをやっちゃうよ♪」
「これで自由になるんだ。」
パン・・
銃声はむなしく空を切った。
そして、一つの身体が床に崩れ落ちた。

なんで僕が・・・
だんだん意識が朦朧としてきました。
崩れていく。
なにもかも。
目の前にあいつがいるのに、なにもできない。
身体に力がはいらない。
後少し、この指だけでも動けば。
目の前が軽くぶれました。
壊れたビデオテープをみてるように・・・
あいつの嫌みな笑い顔が、にじんでみえます。
あれ、なんだこれ。
僕、ないちゃってるや。

やっとここまできたのに。
僕の作ったホームページ。
あれ、たまたま見つけてくれた人の中に、春日って人がいた。
新しい世界。あの世界は、ネット上でできた数少ない友達にだけ教えた。
その中の一人が、相互リンクしようってゆってきた。
大の仲良し。みっちゃんだからいいやって、オーケーしたんだ。
そしたら、いっきにいろんな人がきた。
僕と、なおやくんとみっちゃんの三人で書き込みしてた掲示板にも、
知らない人がいっぱいきてくれた。
なんだっけかなぁ。
そうそう、確かこんな書き込みがあったんだ。
俺、きみのお話の人しってるよ
その時、僕フリーズしちゃった。画面がじゃないよ。
次の日にも、春日って人がかきこみしててさ。
俺の知り合いなんだよ。きみのページ、彼女に教えたら笑ってたよ。
結構すきかもだって。
もしかしたら、掲示板に書き込みとかするんじゃないの?
今度は、ヒューズが飛びました。あ、違うや。目の前真っ暗になっただけだ。
やっぱ、夜にパソコンなんかするもんじゃないね。
暗闇怖いもん。
・・・って、なんか違うな。

いたーい、痛い思いで。てか、思い出したくないなぁ。
なんでかなぁ。そうだそうだ。
僕ね、初めて自分の目を自分でみたんだよぉ。
鏡を使わなくてもみれるなんてべんりぃ。って、全然便利じゃないし。
なんかね、僕の目が僕をみてるの。
なんか、変な感じ。
で、あるべき場所にはどうなってるのかっていうと、なんかぽっかり穴があいてるの。
ちょっとはれてる感じがするんだけどね。指がはいっちゃった。
んで、僕は、軽くなぞって、「ぎゃー」っていって目が覚めるの。
目が覚めたら、包帯が巻かれてて、もちろんさわれるわけはないんだ。
ああ、やっぱ、あの人にはかなわないのかなぁ。

きみ、狩りいっちゃうよ
あれから何日たったことだろう。
だれかが、こういうメッセージをいれてた。
名前ははいってなかったけど。
でもね、なんとなくわかったの。あいつだってことが。
僕どうしたらいいかわかんなくて、やめてください、ってかいたの。
そしたら、自分からでておいで、って。
場所がかかれてた。サンシャインのそば、だってさ。
それだけで、どこを指しているのかすぐにわかったんだよね。
あそこ、あいつに一度向かっていった場所。
何持っていっていいかわかんなくて、とりあえず鉄の棒を服の中にかくして、
もっていったんだ。
そして、あいつが気を許してる間に、殴りかかった。
でも、なんてことはない。あいつきたねーんだよ。
おれ腕つかまれちゃって、軽くなげとばされちゃったよ。
あいつ、なんかやってたんだ。
「きみ、てもとがふるえてよ。そんなんじゃ、ぼくにかすりもしないよ。
だめだねぇ。このまえやったときは、しっかりやってのけたのに。
きみ、ぼくを殺そうとでもおもってたの?だったら、自分もしぬきでこなくちゃ。
そんなに簡単にはいかないもんだよ。ふふ。」
そういって、あいつは僕に近づいてきました。
「ま、きみもただでは帰れると思ってないでしょ。ぼくはね、人の目が好きなんだよ。
なんていうか、引き込まれる。そんな目をもってる人に、ぼくは声をかけるのが好きでね。
きみのめも、前からほしいって思ってたんだ。とりあえず、一つもらうね♪」
そういって、僕の目、くりぬかれちゃいました。
麻酔なんてしてないし、自分の顔の中に何かがはいってぐりぐりしてるのがわかります。
あるべき場所に、あるものが、ない。
気を失えば楽だったんでしょうね。気なんか失えませんでしたよ。
あの笑みにみられている間は・・・

捜し物はなんですか?
失ったものを探してるんです
なにを探してるんですか?
僕の目です
これですか?
はい、それです。返してください
だめだよ。だってこれはぼくのだから。ちゅっ
ハッと目が覚める。あいつを越えないと、僕はこの悪夢から抜け出すことができない。
あいつのことを考えるだけで、ぼくはガクガクふるえる。
何も怖いものなんてない、そう思っていたのに。
僕は、右目を押さえて考えた。なんか伊達政宗みたい。
ちがうちがうちがう。そんなことしてる場合じゃない。
鏡をちらっとみた。そこには、遠くをみつめる目がはいっていた。
僕のじゃないのに。
ふらふら外へでる。
駅前で、女の子に軽くぶつかった。
にらみつけられた。
ぼく、ないちゃった。
だめだ、だめだだめだ。もう、女性をみるだけでぼくの体はいうことをきかない。
このままじゃ、僕いきていけない。

よくよく考えたら、あいつをみつけることなんて簡単だ。
だって、あいつはいつもあの場所にいるんだから。
午前10時に、ベンツで会社にくる。
あの机の上に腰をかけ、いつも同じたばこを吸っている。
お昼には、アールグレイをのみ、そのあとたまった書類をかたづける。
そして、夕方に外に会社をでて、いつものバーに向かう。
その繰り返し。
僕も、あのときはあんな生活してみたいって思ったんだ。
とても、のんびりとした時間を過ごしてる。
たまに、僕もあいつと一緒にバーにいった。
そのときの客、あれはあいつのつれだったのかもしれないが、
なにやら難しい話をしていた。
病院がどうとか、お金がどうとか。
俺の命で、家族は助けてくれって。
あのおじさん、今ではどうなったかはしらないけど。
青山がどうのって。
そのとき、少しあいつの目が細くなったのを覚えてる。
おじさんは、あ、う、ってどもってたな。
結局たどり着いた。
この場所、旧館、青山病院。

そろそろエンドロールが流れるころですね。

つまり、終着駅は青山病院。

最終列車にのって、ここまでやってきました。

本当は、とても悲しい物語。

僕はそう思います。

あの人たちとはもう2度と会うことはないと思います。

僕の記憶も、あそこで一緒に消えてなくなればよかったんです。

でも、この傷痕がしくしくいたむたびに思い出します。

時が普通に過ぎていく。

まるで、あの事件が何もなかったかのように。

隣で子供が笑ってます。

この子には、普通に生きていて欲しい。

僕の分まで幸せに。

熱い。燃えるように熱い。
皮膚がとけていく。
ここから出して。
気がついたら、まわりは火の海でした。
黒煙があたりを包み込む。
もう、何もみえない。
ここで、すべてがおわる。

最後の記憶

何もかもが終わる音が聞こえました。
黒い炎があたりを包みこんでいます。
扉はいつのまにか閉められていた。
水無月、あいつはもうだめだな。
あの男をさしたまま固まっている。
あの奇麗な人、意外と涼しい顔してる。
俺と目があうとにっこり微笑んだ。でも、動こうとしない。
周りの人たちは、我先にといわんばかりに扉に体当たりしてる。
猟銃で撃ちぬいてもびくともしない。
みんな、命がけです。
体に火が燃え移ってるやつがいる。
パチパチと音を立てて燃えている。
嫌な臭いがあたりを満たした。
俺も、動こうとしない。
いーちゃんがいざというときのための合図を教えてくれてたけど、それも今ではどうでもいい。
なにか、ふっきれてた。
死ぬのがあんなに嫌だったのに。
人間同士殺しあう姿は、まさに地獄だな。
紅蓮の炎につつまれながら、静かに死を待つ。

生きることって?
命って?
俺は、そんなことばかり考えてた。
でも、今分かった。そんなもの、とてもちっぽけなもの。
俺達は、ずっと同じなんだ。
この世界ができた時から。
同じ宿命の元にうまれてる。
俺達は、そいつのほんの一瞬、ほんの一部分にしかすぎない。
記憶を受け継いで、そして次の世代へ引き渡す。
長いようで短い、その一瞬に俺達は光をみつけようとしている。
より明るく輝けるように。

とうとう俺の体に火がついた。
全身に痛みが走る。
すべてを終えるような気がした。
チリチリと毛が燃えている。
パチパチと皮膚が爛れてる。
ゆっくりと意識がきえていく。
みんな終わるんだ。すべてがここで。
果てしない闇が、俺を包み込んだ。
なんだ、この感じは。
胸に穴が空いたような、この感じ。
俺、死ぬんだな。

エピローグ

僕は、あいつをナイフでさしたのに、死ぬことができないなんて。
神様は僕をまだ死なせてくれないんだね。
この傷をみるたびにあいつの顔も思い出す。
髪の毛はいつのまにか、黒髪に戻っていました。
ぼくは、、、わたしはこれからはなにをしていきていけばいいのでしょう。
生きることをやめ、ただ復しゅうすることだけを考えていきてきたわたしには、
ただただ暗い海になげだされて行き場を失った子供のよう。
でも、わたしは泳がなければならない。
どこに向かえばいいかわからないけど、この命続くかぎり。
私の人生は、ここから始まる。

創世記編 完

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