終幕

僕は、いきなりそのおじさんに何か光のようなものを向けられたんだ。
そう、あれは、レーザー銃の様なもので、僕にあてていた。
そこで、ぼくは撃たれる、そう思った。
突如、僕の前におじーさんが現れ、僕になにかささやいた。
そして、一瞬にして僕たちは明るい光の中につつまれたんだ。
そう、すべてが見えないくらい強烈な光に中に。。。

僕の目が見えるようになると、そこは大きな部屋でした。
とてもとても大きな部屋。何もありません。
ただ、天井に小さな穴がみえます。あそこが出入り口なんのかな?
周りには、、、人がいません。僕一人のようです。
わーー・・・
叫んでみたけど、ぜんぜん声が響きません。かなり大きいな。
僕は、小さな穴を目指して歩き出しました。

ふぅ~。。。いくら歩いても全然近づく様子がありません。
あんなとこまで、もう、つかれちゃったよ。
僕は、そこにすわりこんでしまいました。
そこは、ただ光があるだけの、とても静かなところでした。
でも、今はもうすわっているのがたえられないんだ。
耳が圧迫されるような、気圧があがるような、なんだか耳が痛い。
僕は、いまだ距離がつかめない、遠くの穴をただ目指していたんだ。

おそいよ、いつまでかかぁ・・って・・・まりあ?なにしてるのぉぉ?
はやぁくおきなぁいぃ・・・とぉ・・・がぁっこうぅぅおくれちゃうわぁよぉぉ
たんじょうび、おめでとうぅ・・これでぇぁあなたぁあも・・・ちゃんとぉぉ
にもつもったー?わすれちゃぁぁぁだぁめだ・・ぁあよぉ・・いくつぅぁぁかぞぇええ・・
こんなぁにぃよるおそくまぁでぇぇどこぉ・・いってぇたのぉぉ・・・しんぱいするでぇしょぉぉ
まぁりぃあぁぁぁぁ・・・はぁやぁくぅぅぅ・・おきぃ・・て・よ・・ねぇ・はやく
まりあ

「いつまでねてんの。はやくおきなさい。」
うん?あ、おかーさん。おかえり。
「なに、寝ぼけてるの。はやく学校にいってきなさい。今日は試験なんでしょ?」
あー、そーだった。今日は、中学の受験日だった。
「もう、しょうがない、おかあさんが連れて行ってあげるから早くしたくしなさいよ。」
今日は、テスト。そーだ、今からテストうけなきゃ。いい学校いって、いい会社はいって、
お金持ちになるんだ。
「おかーさーん、用意できたよー。」

そして、今日まで僕は普通に生活してきました。
いい学校いって、いい会社はいって。人に働き過ぎといわれても、実はそんなにがんばってるわけでもない。
この年で、りっぱな家もってるね。でも、そんなこと、今になってみれば、たいした問題でもない。
ここまで、大きくなっても、なにも満足されない。満足できない。
なんのために、僕はいきてきたんだ。虚無感でいっぱいだ。
いつかくる未来なんて、知ればどうにでもなる。でも、知らないからこそ可能性をみつけることができるんだ。
僕は、未来をみてしまった。そう、あのとき、未来をみてしまったんだ。

「うん?きみはだれ?なんで僕を呼んでるの?」
僕は、意識がもうろうとしている。少年が、僕の名前を呼んでいたんだ。
「すべては、かたがついたよ。ちょっとぎりぎりだったけどね。」
どういうことだろう。
「きみ、あやうく消えちゃうところだったんだよ。ていうか、ほんとはあそこで消されてたんだ。
僕がね、きみを助けにいったんだ。そう、未来からね。
あのとき、君をけそうとした人物から、君を救うことが、僕の今回の指名だったんだよ。」
なにをいってるんだ?
「ほら、きみのところにいた、ゆーかってこ。もとは、あの子が原因なんだけどね。
あの子が、ばぐだったんだよ。わかるかな?すべては、あの子がこちら側にきたことが、
すべての元凶なんだ。」
そういって、その少年は、少しずつ僕に話し始めた。

「僕はね、そう、もうここ、地球って星にはいないんだよ。僕のすんでるところは、
タクスっていう、人工の星。そこにもね、ほとんど人はいないんだ。
いつの時代でも一緒なんだけどね、争いって、終わらないんだな。ま、そんなことはいいとして。
で、僕がやってきたのは、さっきもいったけど、君を救うためなんだ。
なに、ぼーっとしてるんだよ。あ、そうか、この姿がわからないんだ。ほら、あのとき、
君のそばにいたんだよ。思い出してよ。変な格好してたけどさ。」
へんな格好???
「ほらほら、君をみてたでしょ。年寄りの格好をしたさ。」
あー。あのおじいさん、あれが、、、きみ?
「わかってきたみたいだね。そうそう、あの年寄りが僕なんだよ。
僕が、なんであんな格好をしてたかだって?それには、いろいろ理由があるんだよ。
あのメンバーに参加するためにね。」

「君には、よくわからないだろうけどね、あのゆーかってこ、あのこは実験でつくられた人間。
そう、ほとんど人間と呼べるものだった。感情をもち、血の流れている。
でも、どうもその実験室から連れ去られたらしいんだ。窓があいたんだよ。
その窓に、たまたまふれたものがいた。あのとき、きみをけそうとしたディランって男。
いや、その体に潜んでいた、ただの人間。
偶然みつけてしまったんだ。のぞいてはいけない窓を。そして、彼はつれさってしまった。
開発途中のゆーかという子供を。
そのこは、あらゆる知識を授けられ、本当は神としてこの世界を守るはずだったんだ。
あらゆる知識、過去も、現在も、未来もすべてを知る。
そう、いうなれば、地球が生まれてから、消えるまでの、すべてを司る神。
しかし、まだ、開発途中であった。ゆえに、プログラムは実行されなかったんだ。
でも、君の部屋でどうやら、彼女のプログラムは起動し始めたらしい。
すでに、地球上のゴミを消滅させるウイルスをつくっていたんだから。」

僕は、よくわからなかった。
地球上のごみ?なんだよ。ごみ、、人間?あー、でも最近環境汚染なんていってたな。
たしか、オゾン層が穴あいてるとか。
でも、そんなことで?人がおおすぎたから?けしちゃう?
ぼくも、けされちゃう?でも、助けがきたってことは、僕は生き残ってたんだ。
これから、僕はどうなるんだろう。。。

「僕は、あのこを軌道修正させるために、どうしても君を救わなければならなかったんだよ。
今までにも、いろいろ軌道修正してたんだけどね、今回はちょっと難しくて。
どうやって、君がけされるのか、そこがわからなかったんだ。君に殺意を抱いているものは、
一人もいなかったんだよ。該当者ゼロ。なのに、君は消されることになる。
そして、そこからがおかしいのだが、後に君は生き返って、ウイルスを使うことになっていたんだ。
君がだよ。信じられるかい?どうしてかはわからない。きっと、またあの男が君に何かをしたのか、
それとも、ゆーかと接触したことによって、ばぐったのか。それは、いま調査中だ。
でも、君さえ生きていれば、その問題がなくなるんだ。一人の意志には誰もかてないんだから。
そこで、ゆーかの存在がある時代に移動して、僕は本当はあるはずの歴史を変えて、
僕がかわりにゆーかの面倒をみることにしたんだ。
そこで、僕がゆーかを消滅させてもいいんだけどね、自己防衛プログラムが作動すると、
その世界もやられちゃうし、僕もきえちゃうんだ。一応、これでも僕がタクスの指導者なんだよ。
まだ、死ぬわけにもいかないしね。」

「という感じでね、僕はおじいさんになりすますことにしたの。
ちょうど、おじいさんが、死ぬところがあってね。生き返らせるっていわれてたんだけど、
そこを僕がかわりに演じてあげてたんだよ。なかなかグッドでしょ?
そんな、死んだ人を生き返らせるなんて、やっちゃだめだよね?
一度しかない命だから、いいんだから。うん。ま、君を救うってことは、それをじゃましてるのかもしれないけど。
まー、ウイルス使うことはいいんだけどさ、その原因がゆーかであってはだめなんだ。
あの子は、未来が作り出したものだから。突然変異や天変地異によるものなら、
僕たちはなんの手出しもしないんだけどね。」
そういうと、その少年はひといきついた。

僕はいろいろ考えた。これから起こること。いや、起こるはずだったこと。
消える?死ぬってことだよね。死ぬのか。まだなにもしてないのに。
そんなひどいよ。どうして僕が、、、まだ親孝行もしてないんだよ。
いいこと、楽しいことなんて、なにもやってないのに。あのゲームもクリアしてないし。
明日は遊びに友達んちで誕生日パーティーだし。あ、あいつとももうあえないのかな。
僕は、今からどうなるのかなぁ。

「さて、ここまではなしたところで、そろそろ君をもとの世界に戻すとするか。」
あ、僕、ちゃんと戻れるんだ。よかった。
「でも、ただ戻すわけにはいかないんだよ。君には、すべてを忘れてもらわないといけない。
もしかしたら、君はあのプログラムを自分で作ることができるかもしれないし。
君の脳を確認したけど、そんな形跡はなかった。でも、なにがおこるかわからない。
今度は、君が窓を開いてしまうかもしれない。
忘れる前に、なにかやっておきたいこと、あるかい?」
うう、僕は、記憶をなくしちゃうのか。でも、こんな記憶いらない。何の役にもたたないし。
「そーだね、未来をみてみたい。」
僕は、つい口にだしてしまったんだ。

いろんなところをみた。これは、ゲームなんてそれ以上だ。
テレビでみる未来なんて、子供のおもちゃ程度だな。小さすぎる。
でもここは想像できないものばかり。あれは、もう人間ではない。動物でも。まさに、神って感じだ。
「君には、この姿の方がいいと思ってね。」
そう少年が僕にささやいた。
「どうだい?君の時代の人間たちは、きっとびっくりするだろう?
僕だって、君たちの時代にいくのは、少し躊躇するんだよ。だってさ・・・」
そういうと、少し悲しそうな顔をした。
「そろそろいこうか。未来をすべてみることができないんだ。
そうそう、この星の時間は、きみたちと一緒で同じ流れをもっている。
この星の中のことは、いくらタイムマシーンでも、過去をみることや、未来をみることはできない。
この時間。そう、きめられた、時間でなければ、この星にははいれない。
いつのまにか決められていた。君が、けされた日。1999年7月29日。
だから、僕は君に一度あってみたかったんだ。」

そーか、僕はその日にけされちゃったんだ。
でも、その時間だけ特別に覚えてもらえてるんだ。
いつまでも忘れられない。それもいいかも。
この日は、まりあって子がなくなっちゃった日なんだ。。。いつまでも語り継がれる。
あ、でも、僕が生きてるってことは、、、
「ねぇ。僕、けされなかったんだけど、その日はどうなるの?」
「その日は、かわらないよ。君が生きている。その日はまた新しい記念の日になるんだ。
僕たちの力で、君を助け出せた。僕たちの生きている証としてね。
僕たちの、小さな力が、大きな力になった証。もし、ディラン、彼らがあのまま時間を支配していたら、
僕たちの世界ももうどうすることもできなかった。
しかし、彼もまた、知ってしまったんだ。本能で。地球を救わねば、、、って。
誰もが思うこと。使命を感じたんだ。地球のために、、、母なる大地をまもりたかった。
大げさにじゃなく、すべてにね。それができる力を彼はもっていたから。
だから、すべてを支配する前に、それを実行しようとしたんだ。
それが、人間ってやつだろ?」
そういうと、彼は僕に目をつぶるようにいってきた。
僕は、素直に彼のいうとおりに従った。
「軽く力をぬいててね。次に目をさましたとき、君はいつもの生活を続けることができるよ。」

エピローグ

チュンチュンチュン
ふぁ~、今日もいい朝だな。あ、遅刻しちゃう。学校にいかなきゃ。
「いってきまーす」
学校、今日は出校日かぁ。ひさしぶりに友達にあうなぁ。
「昨日さ、俺UFOみたんだぜー。すげーだろ?」
「あー、俺も俺も、なんかさ、ピカッってひかったよ。」
「俺もそれ。最初雷かと思ったけどさ、みてたらなんか大きな乗り物が、こう、ぶーんって。」
「そうそう、すげかったよなー。昨日の。俺、初めてみてさ、ちょっと感動したよ。まりあはみた?」
僕は、、、全てを覚えている。忘れてない。
どうして?なにもかも忘れてるって、いってたのに。
フッと、あの少年の顔がよみがえってきた。
そして、一つの言葉を思い出したんだ。
「・・・一人の意志には誰もかてないんだから。」
僕が、忘れたくない。そう願うことによって、僕の記憶は消えることはなかったんだ。
今でも、彼らはあの日をパスワードにして、時間を守っているんだろうな。
僕が生きていること、それは、ほんとにほんとにちっちゃいことでしかないんだ。
存在自体が、ちっぽけで。
「まりあ?」
「あ、ごめん。聞いてるよ。」
こうやって、これからも、ふつうのなれ合いをしていくんだろう。
ほとんど意味もないような、そんな毎日を。
でも、いいんだ。僕は、これから、普通の暮らしを望んでいこう。
僕も地球のために、やらなきゃならないときがくるはずだ。
彼らのように、、、
いつか、大きくなったときに、きっと。。。

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